測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和3年(2021年)測量士補試験No.18の解答・解説~地上画素寸法の計算~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和3年測量士補試験のNo.18の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和3年測量士補試験No.18の問題文

 画面距離9cm,画面の大きさ 16,000 画素× 14,000 画素,撮像面での素子寸法5μm のデジタル航空カメラを鉛直下に向けて空中写真を撮影した。

 海面からの撮影高度を 3,100 m とした場合,撮影基準面での地上画素寸法は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。ただし,撮影基準面の標高は 400 m とする。

 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

  1.  10cm
  2.  12cm
  3.  15cm
  4.  17cm
  5.  20cm

令和3年測量士補試験問題集 No18より)

令和3年測量士補試験No.18の解答・解説

写真測量」の分野からの出題です。

解答は「3」となります。以下、詳しい計算手順の解説です。

計算に使用する関数表はコチラを参考にしてください。→関数表

地上画素寸法を導くまでの考え方

本問は、撮影基準面での地上画素寸法の値を求める問題です。

地上画素寸法の値を導くためには以下の手順を踏む必要があります。

  1. 問題文からわかる情報を図に書き出す
  2. 撮影基準面からの撮影高度を計算する
  3. 撮影基準面での地上画素寸法を計算する

また、事前知識として問題文にある

  • 画面距離
  • 画面の大きさ
  • 撮像面の素子寸法
  • 海面からの撮影高度
  • 撮影基準面
  • 地上画素寸法

がそれぞれどのようなものかを整理していきます。

もう既に知識がある方は次の章へ進んでいただいても問題ありません。

それぞれの用語を図で表すとこんな感じです。

空中写真撮影の用語図解

  • 画面距離→レンズから撮像面までの距離
  • 画面の大きさ→画面の画素数
  • 撮像面の素子寸法→1画素当たりの大きさ
  • 海面からの撮影高度→海面を基準(0m)としたときのカメラの高さ
  • 撮影基準面→実際に写真に写る面
  • 地上画素寸法→撮影した際の1画素当たりに収まる実際の地面の大きさ

という感覚で覚えてもらえたら良いかと思います。

それでは以上の内容を念頭に置いて実際に計算していきましょう!

手順1 問題文からわかる情報を図に書き出す

まずは計算をする前に、問題文からわかる情報を図に書き出していきます。

慣れてくれば図に書き出す必要はありませんが、書いて置いた方が計算が整理しやすいですし、計算間違いをした際に気付きやすくなります。

実際に使用する図は以下のようなものです。

撮影基準面の地上画素寸法を求めるための図

また問題文を読むことで以下の数値がわかります。

  • 画面距離 9cm
  • 画面の大きさ 16,000 画素× 14,000 画素
  • 撮像面での素子寸法 5μm
  • 海面からの撮影高度 3,100m
  • 撮影基準面の標高 400 m

ただ、このままでは各項目の単位がバラバラなので計算に支障が出てしまいます…すべて「m」に直していきましょう!

cm→mにする際は「×0.01」、μm→mにする際は「×0.000001」をすることで単位を変換できます。

よって単位変換後の各項目の値は次のようになります。

  • 画面距離 9cm→9×0.01m→0.09m
  • 画面の大きさ 16,000 画素× 14,000 画素
  • 撮像面での素子寸法 5μm→5×0.000001m→0.000005m
  • 海面からの撮影高度 3,100m
  • 撮影基準面の標高 400 m

上記の数値をもとに図に書き出してみると以下のようになります。

撮影基準面の地上画素寸法を求めるための図_数値入力後

ここで「画面の大きさ」の数値が入っていないのでは?と思ったかもしれませんが、その通りです…この問題のパターンでは画面の大きさの数値は使用しません。

頭の中から抜いていただいて大丈夫です!

これからの手順には上の図を使用していきましょう!

手順2 撮影基準面からの撮影高度を計算する

手順2では、撮影基準面からの撮影高度を計算していきます。

問題文より

  • 撮影基準面の標高=400m
  • 海面からの撮影高度=3,100m

がわかっていますのでこの2つを利用して求めていきます。

手順1の図をもとにどのように求めていけばよいか考えていきましょう。

ここで海面の標高が気になる所ですが、海面の標高は基本的に0mと考えていただいて問題ありません。

つまり、海面からの撮影高度3,100mから撮影基準面の標高400mを引くことで、撮影基準面からの撮影高度を導き出せそうですね。

撮影基準面からの撮影高度2よって

撮影基準面からの撮影高度=海面からの撮影高度-撮影基準面の標高
=3,100m-400m
=2,700m

となりますので撮影基準面からの撮影高度=2,700mとなります。

手順3 撮影基準面での地上画素寸法を計算する

手順3では撮影基準面での地上画素寸法を計算します。

手順2で求めた数値を手順1で書き出した図に追加すると計算のイメージがしやすいです。

撮影基準面の地上画素寸法ここで上図をよく見ると、手順2で撮影基準面からの撮影高度を求めたことで、下図のように三角形の相似の計算ができるようになっています。

撮影基準面の地上画素寸法2

あとは相似の計算を行えば、撮影基準面の地上画素寸法(上図ではLとしています)を求めることが可能です。

よって

2,700m:0.09m=L:0.000005m
0.09m×L=2,700m×0.000005m
L=(2,700m×0.000005m)/ 0.09m
L=0.15m

となるので、撮影基準面の地上画素寸法は0.15m(=15cm)になると考えられます。

よって最も近しい選択肢は「3」となります。

令和3年測量士補試験No.18のまとめ

「写真測量」からの出題でした。

今回は撮影基準面の地上画素寸法を求めるもので、非常に出題頻度が高いものです。

習得が必須となる問題ですので様々なパターンの問題に触れておきましょう!

令和3年測量士補試験No.18類題

他年度に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!

令和2年測量士補試験問題集NO.19→問題文及び解説記事はコチラ

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和3年のNO.18の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

さいごに

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