測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和2年(2020年)測量士補試験No.13の解答・解説~標尺の補正計算~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和2年測量士補試験のNo.13の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和2年測量士補試験No.13の問題文

 公共測量における 1 級水準測量では,使用する標尺に対して温度の影響を考慮した標尺補正を行う必要がある。公共測量により,水準点A,Bの間で 1 級水準測量を実施し,表13に示す結果を得た。標尺補正を行った後の水準点A,B間の観測高低差は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。

 ただし,観測に使用した標尺の標尺改正数は20℃において+6.0×10^-6(10の-6乗)m/m,膨張係数は+1.5×10^-6(10の-6乗)/℃とする。

 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

表13
表13

  1. +32.2185 m
  2. +32.2194 m
  3. +32.2198 m
  4. +32.2206 m
  5. +32.2215 m

令和2年測量士補試験問題集 No.13)

令和2年測量士補試験No.13の解答・解説

水準測量」の分野からの出題です。

解答は「4」となります。以下、解答を導く詳しい計算手順と考え方です。

計算に使用する関数表はコチラを参考にしてください。→関数表

標尺補正を行った後の水準点A,B間の観測高低差を導く手順

本問では、以下の手順を踏んで問題を解いていきます。

  1. 標尺補正計算の公式に当てはめる数値をまとめる
  2. 標尺補正量を計算する
  3. 観測成果に標尺補正量を適用する

標尺の補正量を計算して、表13にのっている観測高低差の値を、補正後の値に直してあげるわけですね。

それでは、各手順の詳しい内容をそれぞれ見ていきます。

手順1 標尺補正計算の公式に当てはめる数値をまとめる

標尺補正計算をおこなうには、以下の公式を覚えておく必要があります。

ΔC={C0 +(T - T0)× α}× ΔH

それぞれの文字が表す値は次の通りです。

ΔC:標尺補正量
C0:基準温度における標尺改正数(単位長さ当たりの補正量)
T:観測時の測定温度(℃単位)
T0:基準温度(℃単位)
α:膨張係数
ΔH:観測高低差(m単位)

今回の問題文および表13では、それぞれの値が以下のように記載されています。

ΔC(標尺補正量)=求める値
C0(基準温度における標尺改正数)=+6.0×10^-6(10の-6乗)m/m
T(観測時の測定温度)=28℃
T0(基準温度)=20℃
α(膨張係数)=+1.5×10^-6(10の-6乗)/℃
ΔH(観測高低差)=32.2200m

ΔH(観測高低差)については、表に記載された符号が+であろうと-であろうと符号を取った値(絶対値)で表現します。この点は注意が必要です。

あとは、それぞれの値を公式に入れていくだけです。

手順2 標尺補正量を計算する

手順1でまとめた値を、実際に公式に入れて計算してみます。

ΔC={C0 +(T - T0)× α}× ΔH
={6.0×10^-6(10の-6乗)m/m+(28℃ - 20℃)× (+1.5×10^-6(10の-6乗))/℃}× 32.2200m
={6.0×10^-6(10の-6乗)m/m+(8℃) × 1.5×10^-6(10の-6乗)/℃}× 32.2200m
={6.0×10^-6(10の-6乗)m/m+12.0×10^-6(10の-6乗)}× 32.2200m
=(18.0×10^-6(10の-6乗)m/m) × 32.2200m
=579.96 × 10^-6(10の-6乗)m
≒0.00058 m

となりますので、標尺補正量ΔC=0.00058 mです。

令和2年NO13の標尺補正計算次の手順では、この標尺補正量を使用して標尺補正を行った後の水準点A,B間の観測高低差を出していきます。

手順3 観測成果に標尺補正量を適用する

手順2で導き出した標尺補正量を利用して、標尺補正後の観測成果の値を算出します。

手順2より標尺補正量=0.00058 mなので、標尺補正後の観測高低差は

標尺補正後の観測高低差=標尺補正前の観測高低差+標尺補正量
=32.2200 m+0.00058 m
≒32.2206 m

となります。

よって、標尺補正を行った後の水準点A,B間の観測高低差=32.3306 mとなり、選択肢4が正解となります。

標尺補正計算の観測高低差の符号の考え方

標尺補正計算では、問題の表にある観測高低差の符号が「+」か「-」かで最後の手順(標尺補正後の観測高低差の計算)に差が出ます。

問題の表にある観測高低差が「+」の場合は計算結果はそのままで大丈夫ですが、「-」の場合は注意が必要です。

もし仮に今回の問題の表13の観測高低差が「-32.2200 m」だった場合、計算結果の値に「-」を付ける必要があります。

手順3で得た計算結果が32.2206 mでしたので、その計算結果に「-」をつけて「-32.2206 m」というのが答えになります。

問題にある表の符号に注意して計算していくようにしましょう。 

令和2年測量士補試験No.13のまとめ

「水準測量」からの出題でした。

標尺の補正計算は頻出ではないものの、数年に1度は出る内容です。

計算方法の公式を覚えるのはなかなか大変なので、式の意味をイメージしながら覚えると良いと思います。

また、最後に観測高低差に標尺補正量を当てはめる際には観測高低差の成果の符号を忘れないようにしましょう!

令和2年測量士補試験No.13類題

過去に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!

令和3年測量士補試験問題集NO.12→問題文及び解説記事はコチラ

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問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

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