測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和2年(2020年)測量士補試験No.14の解答・解説~断面図の距離計算~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和2年測量士補試験のNo.14の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和2年測量士補試験No.14の問題文

 図14は,ある道路の縦断面を模式的に示したものである。この道路において,トータルステーションを用いた縮尺 1/500の地形図作成を行うため,標高125 mの点Aにトータルステーションを設置し点Bの観測を行ったところ,高低角-30°,斜距離86 mの結果を得た。また,同じ
道路上にある点Cの標高は42 mであった。点Bと点Cを結ぶ道路は,傾斜が一定でまっすぐな道路である。

 このとき,点B,C間の水平距離を300 mとすると,点Bと点Cを結ぶ道路とこれを横断する標高60 mの等高線との交点Xは,この地形図上で点Cから何cmの地点か。最も近いものを次の中から選べ。

 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

図14図14

  1. 8.6 cm
  2. 13.5 cm
  3. 16.2 cm
  4. 27.0 cm
  5. 33.0 cm

令和2年測量士補試験問題集 No.14)

令和2年測量士補試験No.14の解答・解説

水準測量」の分野からの出題です。

解答は「4」となります。以下、解答を導く詳しい計算手順と考え方です。

計算に使用する関数表はコチラを参考にしてください。→関数表

1/500地形図上の点Cから交点Xまでの距離を求めるまでの計算手順

本問では、点Cから交点Xまでの距離が1/500の地形図上では何cmになるかを求めることが目的となっています。今回は求める実際の点Cと交点Xまでの距離をLとし、1/500の地形図上のLの数値をL(500)とします。

問題で求める場所L500

L(500)を導くまでの手順は

  1. 点Bの標高を求める
  2. 点Cと点B及び点Cと点Xの標高の差を求める
  3. 点Cから点Xまでの距離Lを求める
  4. 1/500の地形図上のL(500)を求める

となっており、それぞれの手順では三角関数や三角形の相似の計算を使用します。

数学の問題に近いので、気負いせず落ち着いて解いていきましょう。

手順1 点Bの標高を求める

まずは、点Bの標高を求めていきます。点Bの標高はHBとします。

点Bの標高を求める

点Bの標高を求めるには、まずは1つの角度と1つの辺が分かっている上側の直角三角形を利用するといいですね。これは、点Aの標高から点Bの標高までの比高差を計算することで、点Bの標高を導き出すことができるからです。

今回はこの点Aの標高から点Bの標高までの差をH(A-B)とします。

H(A-B)

上側の直角三角形から、斜辺(点Aから点Bまでの距離)が86m・底辺と斜辺がなす角(点Aから点Bを見た高低角)が-30°とわかっていますので、三角関数のsinの関係を利用することでH(A-B)を計算することができそうです。

sinの関係

今回は、点Aと点Bの標高にどれだけの差があるかを確認したいので、計算しやすいように-30°は30°と置き換えます。

よって、三角関数のsinの関係から

sin(30°)=H(A-B)/86m
H(A-B)=sin(30°)×86m
関数表よりsin(30°)=0.5000なので
H(A-B)=0.5×86m=43m

となるので、点Aの標高から点Bの標高までの比高差はH(A-B)=43mとなります。

H(A-B)の値

あとはこの差分、点Aの標高から引けば点Bの標高が求まりますので点Bの標高はHB

HB=(点Aの標高)-(H(A-B))
=125m-43m
=82m

となります。

点Bの標高

よって点Bの標高は82mです。

手順2 点Cと点B及び点Cと点Xの標高の差を求める

続いて、点Cと点Bの標高の差と点Cと点Xの標高の差を求めます。それぞれ点Cと点Bの標高の差をH(C-B)点Cと点Xの標高の差をH(C-X)とします。

各点の標高と差2

手順1で点Bの標高がわかりましたので点B、点C、点Xのそれぞれの標高は

  • 点Bの標高=82m
  • 点Cの標高=42m
  • 点Xの標高=60m

とわかります。あとはそれぞれの標高の差を以下のように計算します。

■点Cと点Bの標高の差(H(C-B))
H(C-B)=点Cの標高-点Bの標高

=42m-82m
=-40m

■点Cと点Xの比高差(H(C-X))
H(C-B)=点Cの標高-点Xの標高

=42m-60m
=-18m

よって、点Cと点Bの標高には40m点Cと点Xの標高には18m、それぞれ差があることがわかりました。

各点の標高と差の値

手順3 点Cから点Xまでの距離Lを求める

手順1~2で求めた内容を図にまとめると、以下のようになります。

2つの三角形の関係

図の中で青い三角と赤い三角は相似の関係です。(三角形の相似についてはコチラのページを参考にどうぞ。)

相似の三角形では以下のような関係が成り立ちますので、計算していきます。

三角形の相似の関係からLを導く

結果、L=135.0mという結果を得ることができました。

手順4 1/500の地形図上のL(500)を求める

最後に、手順3で出した距離L=135.0mが、1/500の地形図上では何cmになるか計算していきます。

1/500の地形図は、私たちが生活しているこの空間を測った長さ(=1/1)を1/500倍(=0.002倍)小さくした長さが描かれたものです。

よって手順3で出した距離L=135.0mを1/500の地形図上で表現する場合は、距離Lを1/500倍してあげれば描くことができます。

よって、1/500の地形図上のLの数値L(500)

L(500)=距離L×(1/500)
=135.0m×(1/500)
=0.27m

m(メートル)をcm(センチメートル)に直すには100倍すればよいので

0.27m×100=27cm

となります。よって、L(500)=27.0cmです。

上記結果に対応する選択肢は4となりますので、選択肢4が正解となります。

令和2年測量士補試験No.13のまとめ

「水準測量」からの出題でした。

本問は測量の問題として出ていますが、イメージは高校数学の計算問題に近いです。

数学が得意な人であれば簡単に解けると思います。数学が苦手な方は

  • 三角関数
  • 三角形の相似の計算

の2つをしっかりと習得していきましょう。

また、地形図の縮尺に関する考え方も大切です。

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和2年のNO.13の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

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