測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和4年(2022年)測量士補試験No.26の解答・解説~路線測量~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和4年測量士補試験のNo.26の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和4年測量士補試験No.26の問題文

 次の文は,公共測量における路線測量について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。

  1. IP の設置では,線形決定により定められた座標値を持つ IP を,近傍の 4 級基準点以上の基準点に基づき,放射法等により現地に設置する。
  2. 仮 BM 設置測量とは,縦断測量及び横断測量に必要な水準点を設置し,標高を求める作業をいう。仮 BM を設置する間隔は 100 m を標準とする。
  3. 縦断測量とは,仮 BM などに基づき水準測量を行い,中心杭高や地盤高などを測定し,路線の縦断面図データファイルを作成する作業をいう。
  4. 中心線測量とは,路線の主要点及び中心点を設置する作業をいう。主要点には役杭を設置し,中心点には中心杭を設置する。
  5. 横断測量では,中心杭等を基準にして,中心点における中心線の接線に対して直角方向の線上にある地形の変化点及び地物について,中心点からの距離及び地盤高を測定する。

令和4年測量士補試験問題集 No26)

令和4年測量士補試験No.26の解答・解説

応用測量」の分野からの出題です。

正解は「2」となります。

以下、各選択肢の詳しい解説です。

選択肢1について

『IP の設置では,線形決定により定められた座標値を持つ IP を,近傍の 4 級基準点以上の基準点に基づき,放射法等により現地に設置する。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第4節 第551条の一に以下のような記載があります。

551条(IPの設置)
現地に直接IPを設置する必要がある場合は、次により行うものとする。
一 線形決定により定められた座標値を持つIPは、近傍の4級基準点以上の基準点に基づき、放射法等により設置するものとする。

作業規程の準則 148P)

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢1は正しいということになります。

IP点の測量

IP点とは?

IP点とは、測量する線形の中で方向が変わる地点(いわゆるカーブ)に設置する、2つの路線の方向が交わる点のことを指します。

Intersection Pointの略称で、日本語にすると交会点と言います。

また、IP点とともに良く活用される点として、カーブの始点であるBCBeginning Curve)と終点であるECEnd Curve)があります。

IP点について

選択肢2について

『仮 BM 設置測量とは,縦断測量及び横断測量に必要な水準点を設置し,標高を求める作業をいう。仮 BM を設置する間隔は 100 m を標準とする。

この文章は間違いです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第5節 第555条に以下のような記載があります。

555条
「仮BM設置測量」とは、縦断測量及び横断測量に必要な水準点(以下「仮BM」という。)を現地に設置し、標高を定める作業をいう。ただし、河川等で距離標がある場合は、これを仮BMとして使用することができる。

作業規程の準則 149P)

また、続いて第5編 第2章 第5節 第556条には以下のような記載があります。

556条
仮BM設置測量は、平地においては3級水準測量により行い、山地においては4級水準測量により行うものとする。

 仮BMを設置する間隔は、0.5キロメートルを標準とする。
3 精度管理の結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。

作業規程の準則 149P)

作業規程の準則の内容から

  • 「仮BM設置測量」とは、縦断測量及び横断測量に必要な水準点を現地に設置し、標高を定める作業
  • 仮BMを設置する間隔は、0.5キロメートルを標準とする。

ということがわかります。

しかしながら選択肢の文章では

  • 仮 BM 設置測量とは,縦断測量及び横断測量に必要な水準点を設置し,標高を求める作業
  • 仮 BM を設置する間隔は 100 m を標準とする

としてしまっており、仮BMを設置する間隔の記載が違ってしまっています。

よって選択肢の文章の内容と作業規程の準則の内容が矛盾するので選択肢2は間違いということになります。

BMについて

BMとはBenchMarkのことで日本語で「基準」という意味です。

縦断測量と横断測量の工程で必要な重要な基準なので、工事などで損傷がない個所に設置します。

道路上などで「KBM」と書かれた杭や鋲(釘の頭のようなもの)があれば仮BMのことです。

仮BM設置間隔

選択肢3について

『縦断測量とは,仮 BM などに基づき水準測量を行い,中心杭高や地盤高などを測定し,路線の縦断面図データファイルを作成する作業をいう。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第6節 第558条に以下のような記載があります。

558条
「縦断測量」とは、中心杭等の標高を定め、縦断面図データファイルを作成する作業をいう。

作業規程の準則 150P)

また、続いて第5編 第2章 第6節 第559条の1には以下のような記載があります。

559条
縦断測量は、中心杭高及び中心点並びに中心線上の地形変化点(以下「縦断変化点」という。)の地盤高及び中心線上の主要な構造物の標高を仮BM又はこれと同等以上の水準点に基づき、平地においては4級水準測量、山地においては簡易水準測量により行うものとする。

作業規程の準則 149P)

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢3は正しいということになります。

縦断測量とは?

縦断測量とは中心線測量でひいた線形上のうち、等間隔で高さを測っていく測量です。

高さの基準には仮BMを使用していきます。

縦断測量の成果として作成される縦断面図は、中心線測量でひいた線形を真横からみたような形状を表現しています。

縦断

選択肢4について

『中心線測量とは,路線の主要点及び中心点を設置する作業をいう。主要点には役杭を設置し,中心点には中心杭を設置する。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第4節 第552条に以下のような記載があります。

552条
「中心線測量」とは、主要点及び中心点を現地に設置し、線形地形図データファイルを作成する作業をいう。

作業規程の準則 148P)

続いて第5編 第2章 第6節 第554条の1には以下のような記載があります。

554条
主要点には役杭を、中心点には中心杭を設置する。

作業規程の準則 149P)

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢4は正しいということになります。

中心測量とは?

以下の画像のように設計・調査・補修などを目的として道路の中心を測り中心線を作成する測量を言います。

中心線測量

主要点と中心点とは?

主要点はカーブの始点や終点、中心点は中心の線形を等間隔に測量した点を指します。

主要点と中心点

選択肢5について

『横断測量では,中心杭等を基準にして,中心点における中心線の接線に対して直角方向の線上にある地形の変化点及び地物について,中心点からの距離及び地盤高を測定する。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第7節 第561条の1には以下のような記載があります。

561条
横断測量は、中心杭等を基準にして、中心点における中心線の接線に対して直角方向の線上にある地形の変化点及び地物について、中心点からの距離及び地盤高を測定するものとする

作業規程の準則 150P)

上記文章は選択肢の文章と内容が一致するため、選択肢5の文章は正しいと言えます。

横断図の例

令和4年測量士補試験No.26のまとめ

応用測量の分野からの出題でした。

応用測量のうち、路線測量に関する知識の問題です。

出題内容はほぼ決まっているため、過去問を反復すれば必ず得点源になります!

絶対におさえましょう!

令和4年測量士補試験No.26の類題

他年度の測量士補試験に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!

令和3年測量士補試験問題集NO.25→問題文及び解説記事はコチラ

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和4年のNO.26の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

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