測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和3年(2021年)測量士補試験No.25の解答・解説~路線測量~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和3年測量士補試験のNo.25の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和3年測量士補試験No.25の問題文

次の文は,公共測量における路線測量について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。

  1. 中心線測量とは,主要点及び中心点を現地に設置し,線形地形図データファイルを作成する作業をいう。線形地形図データファイルは,地形図データに主要点及び中心点の座標値を用いて作成する。
  2. 仮 BM 設置測量とは,縦断測量及び横断測量に必要な水準点(以下「仮 BM」という。)を現地に設置し,標高を定める作業をいう。仮 BM を設置する間隔は,0.5 km を標準とする。
  3. 縦断測量とは,中心杭などの標高を定め,縦断面図データファイルを作成する作業をいう。縦断面図データファイルを図紙に出力する場合,高さを表す縦の縮尺は,線形地形図の縮尺の5倍から 10 倍までを標準とする。
  4. 横断測量とは,中心杭などを基準にして,地形の変化点などの距離及び地盤高を定める作業をいう。横断方向には,原則として引照点杭を設置する。
  5. 用地幅杭設置測量とは,取得などに係る用地の範囲を示すため所定の位置に用地幅杭を設置する作業をいう。設置した標杭には,測点番号,中心杭などからの距離等を表示する。

令和3年測量士補試験問題集 No25)

令和3年測量士補試験No.25の解答・解説

応用測量」の分野からの出題です。

正解は「4」となります。

以下、各選択肢の詳しい解説です。

選択肢1について

『中心線測量とは,主要点及び中心点を現地に設置し,線形地形図データファイルを作成する作業をいう。線形地形図データファイルは,地形図データに主要点及び中心点の座標値を用いて作成する。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第4節 第552条に以下のような記載があります。

「中心線測量」とは、主要点及び中心点を現地に設置し、線形地形図データファイルを作成する作業をいう。

作業規程の準則(国土地理院)148Pより

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢1は正しいということになります。

文章だけ読んでもわかりづらいですが、以下の画像のように設計・調査・補修などを目的として道路の中心を測り中心線を作成する測量を言います。

中心線測量

 

選択肢2について

『仮 BM 設置測量とは,縦断測量及び横断測量に必要な水準点(以下「仮 BM」という。)を現地に設置し,標高を定める作業をいう。仮 BM を設置する間隔は,0.5 km を標準とする。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第5節 第555条に以下のような記載があります。

「仮BM設置測量」とは、縦断測量及び横断測量に必要な水準点(以下「仮BM」という。)を現地に設置し、標高を定める作業をいう。ただし、河川等で距離標がある場合は、これを仮BMとして使用することができる。

作業規程の準則(国土地理院)149Pより

また、続いて第5編 第2章 第5節 第556条には以下のような記載があります。

仮BM設置測量は、平地においては3級水準測量により行い、山地においては4級水準測量により行うものとする。
仮BMを設置する間隔は、0.5キロメートルを標準とする。
3 精度管理の結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。

作業規程の準則(国土地理院)149Pより

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢2は正しいということになります。

ちなみにBMとはBenchMarkのことで日本語で「基準」という意味です。

縦断測量と横断測量の工程で必要な重要な基準なので、工事などで損傷がない個所に設置します。

仮BM道路上などで「KBM」と書かれた杭や鋲(釘の頭のようなもの)があれば仮BMのことです。

選択肢3について

『縦断測量とは,中心杭などの標高を定め,縦断面図データファイルを作成する作業をいう。縦断面図データファイルを図紙に出力する場合,高さを表す縦の縮尺は,線形地形図の縮尺の5倍から 10 倍までを標準とする。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第6節 第558条に以下のような記載があります。

「縦断測量」とは、中心杭等の標高を定め、縦断面図データファイルを作成する作業をいう。

作業規程の準則(国土地理院)150Pより

また、続いて第5編 第2章 第6節 第559条には以下のような記載があります。

縦断測量は、中心杭高及び中心点並びに中心線上の地形変化点(以下「縦断変化点」という。)の地盤高及び中心線上の主要な構造物の標高を仮BM又はこれと同等以上の水準点に基づき、平地においては4級水準測量、山地においては簡易水準測量により行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、仮BM又はターニングポイントの中間にある点の観測は、中間視によるものとする。
3 縦断変化点には、標杭を設置する。
4 観測の基準とする点は、仮BMとし、観測の路線は、仮BMから出発し、他の仮BMに結合する。
5 観測は、往路においては中心杭高、中心杭・縦断変化点杭の地盤高及び中心線上の主要な構造物の標
高について行い、復路においては中心杭高について行うものとする。
6 縦断変化点及び主要な構造物の位置は、中心点からの距離を測定して定める。
7 地形、地物等の状況により、直接水準測量に代えて間接水準測量によることができる。
8 間接水準測量は、TSを用いた単観測昇降式による往復観測とする。なお、その閉合差の許容範囲は、
第69条第 1 項第二号に規定する表に定める簡易水準測量の閉合差を準用する。
9 縦断面図データファイルは、縦断測量の結果に基づいて作成する。
10 縦断面図データファイルを図紙に出力する場合は、縦断面図の距離を表す横の縮尺(以下「横の縮尺」という。)は線形地形図の縮尺と同一とし、高さを表す縦の縮尺(以下「縦の縮尺」という。)は、線形地形図の縮尺の5倍から10倍までを標準とする。
11 精度管理の結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。

作業規程の準則(国土地理院)149Pより

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢3は正しいということになります。

上記文章では少しわかりづらいですが、縦断測量とは中心線測量でひいた線形上のうち、20m間隔ぐらいの個所の高さを測っていく測量です。

高さの基準には仮BMを使用していきます。

縦断測量の成果として作成される縦断面図は、中心線測量でひいた線形を真横からみたような形状を表現しています。

縦断

選択肢4について

『横断測量とは,中心杭などを基準にして,地形の変化点などの距離及び地盤高を定める作業をいう。横断方向には,原則として引照点杭を設置する。』

この文章は誤りです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第7節 第560条に以下のような記載があります。

「横断測量」とは、中心杭等を基準にして地形の変化点等の距離及び地盤高を定め、横断面図データファイルを作成する作業をいう。

作業規程の準則(国土地理院)150Pより

また、続いて第5編 第2章 第7節 第561条には以下のような記載があります。(掲載項目が多いため一部のみを抜粋しています。)

横断測量は、中心杭等を基準にして、中心点における中心線の接線に対して直角方向の線上にある地形の変化点及び地物について、中心点からの距離及び地盤高を測定するものとする。
横断方向には、原則として、見通杭を設置するものとする。
3 測量の基準とする点は、中心杭及び計画機関が指示する縦断変化点杭とする。
4 横断測量における地盤高の測定は、地形、地物等の状況により直接水準測量又は間接水準測量により行うものとする。

作業規程の準則(国土地理院)150Pより

選択肢の文章の前半部分は一致していますが、後半部分において矛盾が生じています。

横断方向に原則として設置する者は、引照点杭ではなく見通杭です。

よって選択肢4は誤りということになります。

ちなみに引照点杭は中心線測量で設置するものです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第4節 第553条に以下のように記載されています。

第554条 主要点には役杭を、中心点には中心杭を設置する。
役杭には、必要に応じて引照点杭又は保護杭を設置する。
3 役杭及び中心杭には、識別のための名称等を記入する。
4 引照点杭を設置した場合は、引照点図を作成する。

作業規程の準則(国土地理院)148Pより

上記文章ではわかりづらいですが、横断測量は中心線測量でひいた線形を横切るような面の標高や地物の位置を測っていく測量です。

高さの基準には仮BMを使用していきます。

横断

 

選択肢5について

『用地幅杭設置測量とは,取得などに係る用地の範囲を示すため所定の位置に用地幅杭を設置する作業をいう。設置した標杭には,測点番号,中心杭などからの距離等を表示する。』

この文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第2章 第9節 第564条に以下のような記載があります。

「用地幅杭設置測量」とは、取得等に係る用地の範囲を示すため所定の位置に用地幅杭を設置する作業をいう

作業規程の準則(国土地理院)152Pより

また、続いて第5編 第2章 第9節 第565条には以下のような記載があります。

用地幅杭設置測量は、中心点等から中心線に対して直角方向の用地幅杭点座標値を計算し、それに基づいて、近傍の4級基準点以上の基準点、主要点、中心点等から放射法等により用地幅杭を設置して行うものとする。設置した標杭には、測点番号、中心杭等からの距離等を表示する。
2 計画機関の指示により、前項に規定する以外の位置に用地幅杭点を設置する場合は、その点の座標値を計算し、放射法等により行うものとする。
3 用地幅杭設置測量の観測は、測量地域の地形、地物等の状況を考慮し、次のとおり行うものとする。
一 TS等を用いる場合は、第551条第2項第一号の規定を準用する。
二 キネマティック法、RTK法又はネットワーク型RTK法による場合は、第550条第3項第二号
から第四号、第4項及び第5項の規定を準用する。
4 用地幅杭点間の距離は、用地幅杭点座標値に基づき、計算により求める。
5 用地幅杭点及び中心点の位置を示す図を必要とする場合には、杭打図として作成する。

作業規程の準則(国土地理院)152Pより

よって選択肢の文章の内容と一致するので選択肢5は正しいということになります。

用地幅杭の設置というのは「この範囲が道路の敷地になる範囲である」と明確に表現する作業になります。

道路幅杭

令和3年測量士補試験No.25のまとめ

応用測量の分野からの出題でした。

応用測量のうち、路線測量という測量に関する問題でしたが作業工程をイメージしづらいかもしれません。

作業規程の準則の該当する部分をしっかりと読み込み、対応できるようにしましょう!

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和3年のNO.25の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

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