必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください!
目次
令和2年測量士補試験No.6の問題文
次の a ~ d の文は,測量における誤差について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
- 測量機器の正確さには限度があり,観測時の環境条件の影響を受けるため,十分注意して距離や角度などを観測しても,得られた観測値は真値にわずかな誤差が加わった値となる。
- 系統誤差とは,測量機器の特性,大気の状態の影響など一定の原因から発生する誤差である。この誤差は,観測方法を工夫することによりすべて消去できる。
- 偶然誤差とは,発生要因に特段の因果関係がないため,観測方法を工夫しても消去できないような誤差である。この誤差は,観測値の平均をとれば小さくできる。
- 最確値は最も確からしいと考えられる値であり,一般的に最小二乗法で求めた値である。
- aのみ
- bのみ
- b,c
- c,d
- 間違っているものはない
(令和2年測量士補試験問題集 No.6)
令和2年測量士補試験No.6の解答・解説
「多角測量」の分野からの出題です。
解答は「2」です。以下、各文章の詳しい解説です。
文章aについて
『測量機器の正確さには限度があり,観測時の環境条件の影響を受けるため,十分注意して距離や角度などを観測しても,得られた観測値は真値にわずかな誤差が加わった値となる。』
この文章は正しいです。
測量機器には、観測方法によって打ち消せる誤差とそうでない誤差があります。
測量機器が持つ
- 視準軸誤差
- 水平軸誤差
- 偏心誤差
- 外心誤差
といった誤差は正反セットの対回観測である程度打ち消すことはできますが、一方で
- 鉛直軸誤差
- 大気の屈折による誤差
など、構造や環境によって発生する誤差もあります。
よって、悲しいですが観測した結果には必ず誤差が存在します、
上記理由から文章aは正しいと言えます。
文章bについて
『系統誤差とは,測量機器の特性,大気の状態の影響など一定の原因から発生する誤差である。この誤差は,観測方法を工夫することによりすべて消去できる。』
この文章は間違いです。
系統誤差とは「特定の原因がわかっていて発生する一定の誤差」のことで、問題文に書いてあることと一致しますが、それらをすべて打ち消せるというわけではありません。
文章aの解説でも述べたように、もちろん観測方法によって打ち消せる誤差もありますが、一方で温度や気圧などあるていど影響は少なくすることができても、どうしても誤差が残ってしまう場合もあります。
よって、文章bは間違いと言えます。
文章cについて
『偶然誤差とは,発生要因に特段の因果関係がないため,観測方法を工夫しても消去できないような誤差である。この誤差は,観測値の平均をとれば小さくできる。』
この文章は正しいです。
偶然誤差は「計測者や環境で意図せず(=偶然)に発生してしまう誤差のことです。」
正しい値よりも当然偶然誤差を持った観測値の方が大きくなってしまいますが、複数回繰り返して観測値の平均をとることで、なるべく正しい観測値へ近づけることができる(=誤差を小さくできる)ことが可能です。
よって文章cは正しいと言えます。
文章dについて
『最確値は最も確からしいと考えられる値であり,一般的に最小二乗法で求めた値である。』
この文章は正しいです。
最確値は文字通り「最も確からしい値」のことを指します。
その最確値は最小二乗法と呼ばれる「残差の二乗和が最小となる場所がどこか」を求める計算によって求められます。
最小二乗法を利用すると、計算した値を比較することができ、そのなかで最も小さい値=最も残差が少なくなります。
残差は観測した結果をどのぐらい補正したら良いかを示した値を指していて、補正量が少ない=最も確からしい値になるという理屈ですね。
よって文章dは正しいと言えます。
文章a~dの正誤まとめ
今までの解説から、各文章の正誤は以下の通りと分かりました。
- 正しい
- 間違い
- 正しい
- 正しい
よって、上記の正誤の組み合わせと一致するのは選択肢2の「bのみ」となりますので、選択肢2が正解となります。
令和2年測量士補試験No.6のまとめ
「多角測量」の分野からの出題でした。
測量における誤差に関する出題でしたね。
測量の誤差の問題はパターンが変わっても毎年でる頻出の内容なので、色々な誤差について把握しておきましょう!
令和2年測量士補試験No.6の類題
他年度の測量士補試験に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!
令和3年測量士補試験問題集NO.7→問題文及び解説記事はコチラ
さいごに
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