この記事はこんな方におすすめ
- 測量士補試験を初めて受ける方
- 測量士補試験を受けようと思っているけど出題内容を見てもよくわからなかった方
- 「多角測量」がどんな内容か知りたい
測量士補試験の受験科目には以下の8つがあります。
- 測量に関する法規
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
今回はその中の「多角測量」について、どんな内容か解説していきます。
「測量はわかるけど多角って何…?」と思われるかもしれませんが、この記事を最後まで読めばそんな疑問も解消されます。
ぜひ最後までお読みください!
目次
測量士補試験の受験分野「多角測量」はどんな内容か
多角測量とは、既知点(測量済みで座標が既に分かっている点)からトータルステーションやセオドライトと呼ばれる専用の測量機器を用いて測量を行っていくことで、未知点(まだ座標が不明な点)の座標の数値を出す作業です。
測量経験がある方はは「トラバース測量」とか、さらに略して「トラバー」って言ったりしますね。
既知点から未知点に向かってどんどん測量を行っていくため、作業を進めていくと下図のように多数の角度を形成した路線が作成されます。
こういった作業を進めていく中で未知点の座標を算出する必要があるので、測量士補試験ではその途中の計算問題が必然的に出題されます(1~2問)。
出題される計算問題は、以下のようなものを求めていくことがほとんどです。
- 未知点の座標
- 各路線のなす方向角
- 閉合差
使用する計算方法には三角関数を用いることもあり苦手意識を持ちやすい方も多い印象がありますが、出題のパターンはかなり限られていますので反復してマスターすることで貴重な得点源にもなりえます。
また、計算問題以外にもその多角測量に関する測量法や使用する器械などについても出題されており、多少の暗記が必要です。(1~2問)。
以上のことをふまえてまとめると、多角測量の分野には次のような特徴があります。
出題の特徴
- 未知点の座標、方向角、閉合差などを求める計算問題(1~2問)
- 多角測量に関する測量法や使用する器械の知識(1~2問)
- 出題数は例年3問
- 計算問題には三角関数を使用するため難しそうだが、ある程度計算パターンは決まっている
計算問題は計算方法の基礎さえ押さえていれば解答を出すのにそこまで難しくはありません。
また、この分野のスキルや知識は今後測量を行っていくうえで重要かつすべての測量技術の基礎になる部分です。
今後測量業界での仕事を考えるあなたにとっては避けては通れない道ですので、この機会をチャンスと捉えてマスターしちゃいましょう!
測量士補試験の受験分野「多角測量」の実際の出題内容
多角測量に関する分野では、過去にどのような問題が出題されているのでしょうか?
過去3年分(令和1~3年)の過去問を例にあげると、それぞれ次の出題番号が該当します。
出題数は毎年ほとんど変わらず過去5年間は毎回3問(75点分)出題されています。
全体の1割ぐらいの範囲を占めていますね。
測量の実践的な内容になるので測量未経験の方にとってはイメージしづらい分野にもなってきますが、出題の傾向はある程度決まっていますので過去問を繰り返し解くことで対策は十分に可能です。
対策しやすい点・測量の基礎となる点を考えると、なるべく全問正解を狙っていきたいところです。
過去に出題された問題は次のものが例として挙がります。
次のa〜eの文はトータルステーションを用いた基準点測量の点検計算について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
図 7 に示すとおり,新点Aの標高を求めるため,既知点Bから新点Aに対して高低角α及び斜距離Dの観測を行い,表 7 の結果を得た。新点Aの標高は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
平面直角座標系(平成 14 年国土交通省告示第 9 号)において,点 B は,点 A からの方向角が198° 00′ 00″,平面距離が 1,200.00 m の位置にある。点Aの座標値を,X=-1,000.00 m,Y=+500.00 mとする場合,点Bの座標値は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
次のa〜eの文はトータルステーション(以下「TS」という。)を用いた水平角観測において生じる誤差について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
前述もしていますが、
- トータルステーションなどの測量機器に関する問題
- 未知点の平面の座標値や高さを求める問題
- 基準点測量の計算に関する問題
などが出題されている内容となっています。
今後、測量にたずさわる仕事をすることも考えて、この分野は満点を狙っていきましょう!
測量士補試験の受験分野「多角測量」の勉強方法
他の分野と一緒で、過去問を反復して解くことで傾向や特徴を掴んでいくことが大事です。
測量機器に関する問題は暗記することがポイントなのは当たり前ですが、計算問題についても数値を入れ替えただけの問題が多いのでその計算の順番さえ覚えればそこまで怖くありません。
一方で
- トータルステーション(TS)
- セオドライト
多角測量で用いることの多いこの2つの道具がどのようなものかを理解しておくことも多角測量の分野の理解を後押しする1つの要因になります。
測量士補試験の受験分野「多角測量」のまとめ
本記事では、測量士補試験の受験分野の1つである「多角測量」について解説しました。
「多角測量」には以下のような特徴があります。
出題の特徴
- 測量機器の特徴や多角測量で求める座標値や誤差を求める内容
- 暗記問題、計算問題あり
- 出題傾向は一定で対策しやすい
- 出題数は3問(全体の約1割、75点分)
実際に過去問を見ていただいた方は出題傾向が例年で似ていることが理解できたと思います。
過去問を反復して解くことで出題の傾向や特徴・計算の流れは理解できますが、より理解を深めるためには測量機器の実際の写真を見たりしてイメージを膨らませていくことも大事です。
内容をしっかりと理解して、重要な得点源の1つにしちゃいましょう!
その他の分野の解説や測量士補試験に関する情報については別の記事でまとめています。その記事のリンクも以下に掲載いたしますので、ぜひご活用ください!