測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和2年(2020年)測量士補試験No.22の解答・解説~平面直角座標系について~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和2年測量士補試験のNo.22の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和2年測量士補試験No.22の問題文

 次の a ~ e の文は,平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第 9 号)について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。

  1. 平面直角座標系に用いることが定められている地図投影法は,ガウスの等角二重投影法である。
  2. 平面直角座標系におけるY軸は,座標系原点において子午線に直交する軸とし,真東に向かう方向を正としている。
  3. 平面直角座標系では,日本全国を19の座標系に分けている。
  4. 平面直角座標系における座標系原点はすべて赤道上にはない。
  5. 各平面直角座標系の原点を通る子午線上における縮尺係数は0.9999であり,この子午線から離れるに従って縮尺係数は小さくなる。
  1. a,b
  2. a,e
  3. b,d
  4. c,d
  5. c,e

令和2年測量士補試験問題集 No.22)

令和2年測量士補試験No.22の解答・解説

地図編集」の分野からの出題です。

正解は「2」となります。

以下、各文章の詳しい解説です。

文章aについて

『平面直角座標系に用いることが定められている地図投影法は,ガウスの等角二重投影法である。』

この文章は間違いです。

国土地理院の平面直角座標系のページには、以下の通り記載があります。

座標系は、地点の座標値が次の条件に従ってガウスの等角投影法によって表示されるように設けるものとする。

国土地理院HP

上記文章から、平面直角座標系に用いられている投影法はガウスの等角二重投影法ではなくガウスの等角投影法にて表示されるとしていますので、文章aの内容とは一致しません。

一般的にはガウス・クリューゲル法と呼ばれることが多いですが、ガウスの等角投影法=ガウス・クリューゲル法ですので、どちらで呼んでも大丈夫です。

日本では1950年ごろまではガウスの等角二重投影法を用いるのが一般的でしたが、現在は用いられておりません。

よって、文章aは間違いであると言えます。

平面直角座標系の地図投影法

文章bについて

『平面直角座標系におけるY軸は,座標系原点において子午線に直交する軸とし,真東に向かう方向を正としている。』

この文章は正しいです。

国土地理院の平面直角座標系のページには、以下の通り記載があります。

座標系のX軸は、座標系原点において子午線に一致する軸とし、真北に向う値を正とし、座標系のY軸は、座標系原点において座標系のX軸に直交する軸とし、真東に向う値を正とする。

国土地理院HP

上記文章から、座標系のY軸は

  • 座標系原点において座標系のX軸に直交する
  • 真東に向う値を正

ということがわかりますので、文章bの内容と一致します。

よって、文章bは正しいと言えます。

平面直角座標系のX軸とY軸

文章cについて

『平面直角座標系では,日本全国を19の座標系に分けている。』

この文章は正しいです。

国土地理院の平面直角座標系のページには、以下の通り記載があります。

測量法(昭和二十四年法律第百八十八号。以下「法」という。)第十一条第一項第一号の規定を実施するため、直角座標で位置を表示する場合の平面直角座標系を次のように定める。

国土地理院HP

上記内容から、平面直角座標系は19個に分かれていることがわかります。

よって文章cは正しいと言えます。

各座標系番号

文章dについて

『平面直角座標系における座標系原点はすべて赤道上にはない。』

この文章は正しいです。

赤道は、緯度が0度の線をいいます。

一方で、平面直角座標系の各座標系の原点の緯度は、国土地理院の平面直角座標系のページから次の通りとなります。

  1. 33度0分
  2. 33度0分
  3. 36度0分
  4. 33度0分
  5. 36度0分
  6. 36度0分
  7. 36度0分
  8. 36度0分
  9. 36度0分
  10. 40度0分
  11. 44度0分
  12. 44度0分
  13. 44度0分
  14. 26度0分
  15. 26度0分
  16. 26度0分
  17. 26度0分
  18. 20度0分
  19. 26度0分

各座標系の緯度の線2

いずれの座標系の原点の緯度も、0度の上にありません。つまり、いずれの座標系の原点も赤道上にはないということになります。

よって文章dは正しいと言えます。

文章eについて

『各平面直角座標系の原点を通る子午線上における縮尺係数は0.9999であり,この子午線から離れるに従って縮尺係数は小さくなる。』

この文章は間違いです。

まず、子午線上=X軸上を0地点として、そこから約90kmまでの範囲は縮尺係数を0.9999となっています。

さらに、約90km地点上では縮尺係数は縮尺係数を1.0000、約90kmから約130kmまでを1.0001とするように定めています。

  • 0~約90km:0.9999
  • 約90km地点:1.0000
  • 約90km~約130km:1.0001

と子午線(0地点)から距離が離れるにつれて、縮尺係数は大きくなっているので、文章eは間違いであると言えます。

平面直角座標系の縮尺係数

文章a~eの正誤まとめ

各文章の解説からそれぞれの正誤をまとめると次のようになります。

a:間違い
b:正しい
c:正しい
d:正しい
e:間違い

よって、間違いの組み合わせは「a,e」となります。

以上のことから、本問の正解は「2」と言えます。

令和2年測量士補試験No.22のまとめ

地図編集の分野からの出題でした。

地図投影法の問題はパターンを変えてよく出てきます。平面直角座標系もその1つです。

平面直角座標系の知識は測量業界に従事してからも使う機会が多く、必須の知識と言えます。

必ずマスターしておきましょう!

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