測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和2年(2020年)測量士補試験No.28の解答・解説~河川測量について~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和2年測量士補試験のNo.28の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

その他の過去問の解説記事はコチラのリンクからどうぞ。

令和2年測量士補試験No.28の問題文

 次の文は,公共測量における河川測量について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。

  1. 水準基標測量とは,定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業をいう。
  2. 水準基標は,水位標に近接した位置に設置するものとする。
  3. 定期縦断測量は,左右両岸の距離標の標高並びに堤防の変化点の地盤及び主要な構造物について,距離標からの距離及び標高を測定するものとする。
  4. 定期横断測量は,陸部において堤内地の20 m ~ 50 mの範囲についても行う。
  5. 深浅測量とは,河川などにおいて水深及び測深位置を測定し,縦断面図データファイルを作成する作業をいう。

令和2年測量士補試験問題集 No.28)

令和2年測量士補試験No.28の解答・解説

応用測量」の分野からの出題です。

正解は「5となります。

以下、各文章の詳しい解説です。

文章1について

『水準基標測量とは,定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業をいう。』

上記文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第3章 第4節 第575条に以下のような記載があります。

575条(要旨)

「水準基標測量」とは、定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業をいう。

作業規程の準則 154P)

上記条文は文章1の内容と一致するので文章1は正しいということになります。

作業規程の準則の第5編第3章第4節第575条_水準基標測量の要旨

水準基標測量で水準基標の標高を定めるので、その水準基標を基準にして測量することで、任意の個所の標高を求めることができます。

文章2について

『水準基標は,水位標に近接した位置に設置するものとする。』

上記文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第3章 第4節 第576条に以下のような記載があります。

576条(方法)

水準基標測量は、2級水準測量により行うものとする。
2 水準基標は、水位標に近接した位置に設置するものとし、設置間隔は、5キロメートルから20キロメートルまでを標準とする。
3 精度管理の結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。
4 水準基標の位置を示すため、点の記を作成する。

作業規程の準則 155P)

上記条文は水準基標測量のルール・方法をまとめたものですが、その中の2に「水準基標は、水位標に近接した位置に設置する~」という記載があります。

この文章は問題文の文章と一致するので、文章2は正しいと言えます。

作業規程の準則の第5編第3章第4節第576条_水準基標測量の方法

文章3について

『定期縦断測量は,左右両岸の距離標の標高並びに堤防の変化点の地盤及び主要な構造物について,距離標からの距離及び標高を測定するものとする。』

上記文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第3章 第5節 第578条の1に以下のような記載があります。

578条(方法)

定期縦断測量は、左右両岸の距離標の標高並びに堤防の変化点の地盤及び主要な構造物について、距離標からの距離及び標高を測定するものとする。

(作業規程の準則 155P)

上記文章は問題文の文章3と一致するので、文章3は正しいと言えます。

作業規程の準則の第5編第3章第5節第578条の1_定期縦断測量の方法縦断図は距離標から距離標までをむすんだ線を縦に割って横からみた図面です。

その縦断図には距離や標高などの情報を盛り込み、各地点でどの程度高さに差があるかなどを確認できます。

文章4について

『定期横断測量は,陸部において堤内地の20 m ~ 50 mの範囲についても行う。』

上記文章は正しいです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第3章 第6節 第580条の3に以下のような記載があります。

580条(方法)

3 陸部の測量範囲は、次表を標準とする。

580条_表

(作業規程の準則 155P)

上記条文と表から、定期横断測量の測量範囲は堤内20~50mであることがわかります。

これは文章4と一致していますので、文章4は正しいと言えます。

作業規程の準則の第5編第3章第5節第580条の3_定期横断測量の方法定期横断測量は縦断図を作成するルート上を定期的に横に切っていき、その形状を測量するものです。

とうぜん河川を横に切ると陸部と水部が測量範囲になるのですが、陸部というのは延々と続いていますのでどこかで範囲を指定する必要があります。

その範囲を指定しているのが、この条文となります。

文章5について

『深浅測量とは,河川などにおいて水深及び測深位置を測定し,縦断面図データファイルを作成する作業をいう。』

上記文章は間違いです。

国土地理院が発行している作業規程の準則の第5編 第3章 第7節 第581条に以下のような記載があります。

581条(要旨)
「深浅測量」とは、河川、貯水池、湖沼又は海岸において、水底部の地形を明らかにするため、水深、測深位置又は船位、水位又は潮位を測定し、横断面図データファイルを作成する作業をいう。

作業規程の準則 156P)

上記条文では、横断面図データファイルを作成する作業としていますが、問題文の文章5では縦断面図データファイルを作成する作業としています。

よって、文章5と作業規程の準則では一致していませんので、文章5は間違いであると言えます。

深浅測量は「しんせんそくりょう」と読み、船などを利用して水上から水中の底部を測る測量です。

船などの位置をGNSSなどを利用して特定しながら、その付近の水中の底部を特殊な器械を利用して計測していきます。

作業規程の準則の第5編第3章第7節第581条_深浅測量の要旨

文章1~5の正誤まとめ

それぞれの文章の解説から1~5のそれぞれの文章の正誤は以下の通りとなります。

よって、間違っている文章は5となりますので、本問で選ぶべき選択肢は5となります。

令和2年測量士補試験No.28のまとめ

応用測量の分野からの出題でした。

河川測量に関する問題は、応用測量の中でも頻出のパターンの1つです。

内容はイメージしづらいものもあるかもしれませんが、選択肢の文章はかなり限られています。

数年分の過去問を解いて、色々なパターンに対応できるようにしておきましょう!

令和2年測量士補試験No.28の類題

他年度の測量士補試験に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!

令和3年測量士補試験問題集NO.28→問題文及び解説記事はコチラ

令和4年測量士補試験問題集NO.28→問題文及び解説記事はコチラ

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和2年のNO.28の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→【令和5年】問題解説リンク集から現役測量士の解説を読んで測量士補試験の過去問を攻略しよう!!

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