必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和2年測量士補試験No.15の問題文
次の文は,公共測量における地形測量のうち現地測量について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
- 地形,地物などの測定においては,トータルステーションとGNSS測量機を併用しなければならない。
- 現地測量は,4 級基準点,簡易水準点又はこれと同等以上の精度を有する基準点に基づいて実施する。
- 現地測量により作成する数値地形図データの地図情報レベルは,原則として1000以下とし250 ,500及び1000を標準とする。
- 細部測量において,携帯型パーソナルコンピュータなどの図形処理機能を用いて,図形表示しながら計測及び編集を現地で直接行う方式をオンライン方式という。
- 補備測量においては,編集作業で生じた疑問事項及び重要な表現事項,編集困難な事項,現地調査以降に生じた変化に関する事項などが,現地において確認及び補備すべき事項である。
(令和2年測量士補試験問題集 No.15)
令和2年測量士補試験No.15の解答・解説
「地形測量」の分野からの出題です。
解答は「1」となります。以下、各文章の詳しい解説です。
文章1 現地測量におけるTSとGNSSの併用について
『地形,地物などの測定においては,トータルステーションとGNSS測量機を併用しなければならない。』
上記文章は間違いです。
国土地理院が定める作業規程の準則の第3編 第2章 第4節 第2款 第121条に以下の通り記載があります。
第2款(地形、地物等の測定)
第121条(要旨)地形、地物等の測定は、基準点又はTS点にTS等又はGNSS測量機を整置し、地形、地物等の水平位置及び必要に応じて標高を求めるものとする。
(作業規程の準則 P53)
上記条文を要約すると、地形・地物等を対象として測定をする場合は
- TS(トータルステーション)
- GNSS測量機
のどちらかを整地し、水平位置や標高を読み取れば良いとしています。
言い換えれば、TSとGNSSの両方を使用して計測を行う必要はありません。
よって、文章1の『地形,地物などの測定においては,トータルステーションとGNSS測量機を併用しなければならない。』は条文と矛盾しています。
よって文章1は間違いです。
文章2 現地測量で使用する基準点の種類について
『現地測量は,4 級基準点,簡易水準点又はこれと同等以上の精度を有する基準点に基づいて実施する。』
上記文章は正しいです。
国土地理院が定める作業規程の準則の第3編 第2章 第1節 第110条に以下の通り記載があります。
第110条(準拠する基準点)
現地測量は、4級基準点、簡易水準点又はこれと同等以上の精度を有する基準点に基づいて実施するものとする。
(作業規程の準則 P50)
上記条文では、基準点は4級と同等以上(=主に1~4級基準点)、水準点では簡易水準点と同等以上(=主に1~4級水準点と簡易水準点)に基づいて現地測量を実施するものとしています。
条文の内容は、文章2の内容と一致していますので、文章2は正しいと言えます。
文章3 現地測量の数値地形図の地図情報レベルについて
『現地測量により作成する数値地形図データの地図情報レベルは,原則として1000以下とし250 ,500及び1000を標準とする。』
上記文章は正しいです。
国土地理院が定める作業規程の準則の第3篇 第2章 第1節 第111条に以下のような記載があります。
第111条(数値地形図データの地図情報レベル)
現地測量により作成する数値地形図データの地図情報レベルは、原則として1000以下とし250、500及び1000を標準とする。
(作業規程の準則 P50)
上記条文を要約すれば、数値地形図データの地図情報レベルは
- 250
- 500
- 1000
が標準であるとしています。
条文の内容は文章3と一致していますので、文章3は正しいと言えます。
文章4 細部測量のオンライン方式について
『細部測量において,携帯型パーソナルコンピュータなどの図形処理機能を用いて,図形表示しながら計測及び編集を現地で直接行う方式をオンライン方式という。』
上記文章は正しいです。
国土地理院が定める作業規程の準則の第3篇 第2章 第4節 第116条の3に以下のような記載があります。
第116条(細部測量の要旨)の3
細部測量は、次のいずれかの方法を用いるものとする。
一 オンライン方式 携帯型パーソナルコンピュータ等の図形処理機能を用いて、図形表示しながら計測及び編集を現地で直接行う方式(電子平板方式を含む)
二 オフライン方式 現地でデータ取得だけを行い、その後取り込んだデータコレクタ内のデータを図形編集装置に入力し、図形処理を行う方式(作業規程の準則 P51)
上記条文を要約すると
- オンライン方式⇒現地で計測しながら図形を表現していくリアルタイムな手法
- オフライン方式⇒現地でデータ取得をした後で、社内などにそのデータを持ち帰り図形編集装置で図形処理をする工程を順番におこなう手法
となっています。
オンライン方式の説明の文章は今回の文章3の説明と一致しているため、文章3は正しいと言えます。
文章5 補備測量の確認事項について
『補備測量においては,編集作業で生じた疑問事項及び重要な表現事項,編集困難な事項,現地調査以降に生じた変化に関する事項などが,現地において確認及び補備すべき事項である。』
上記文章は正しいです。
国土地理院が定める作業規程の準則の第3篇 第2章 第6節 第127条の2に以下のような記載があります。
第127条(補備測量の要旨)の2
現地において確認及び補備すべき事項は、次のとおりとする。
一 編集作業で生じた疑問事項及び重要な表現事項
二 編集困難な事項
三 現地調査以降に生じた変化に関する事項
四 境界及び注記
五 各種表現対象物の表現の誤り及び脱落(作業規程の準則 P55)
上記条文に掲載されている確認および補備すべき事項の内容は、文章5の内容と一致しています。
よって、文章5は正しいと言えます。
文章1~5の正誤まとめ
1~5の各文章の正誤はそれぞれ
- 文章1:誤
- 文章2:正
- 文章3:正
- 文章4:正
- 文章5:正
であることがわかりました。
よって、明らかに間違っているものは文章1となるので、正しい選択肢は「1」となります。
令和2年測量士補試験No.15のまとめ
「現地測量」からの出題でした。
本問のような問題は毎年出てくるかなり頻出な問題です。
文章はほぼ過去問と同じものが出るので、この分野は必ず過去問を3年分は解いておきましょう!
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令和3年測量士補試験問題集NO.14→問題文及び解説記事はコチラ
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