測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和4年(2022年)測量士補試験No.15の解答・解説~TSの水平位置の誤差計算~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和4年測量士補試験のNo.15の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和4年測量士補試験No.15の問題文

 細部測量において,基準点 A にトータルステーションを整置し,点 B を観測したときに 1’ 40"の水平方向の誤差があった場合,点 B の水平位置の誤差は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし,点 A,B 間の水平距離は 120 m,角度 1 ラジアンは(2 × 10^5(10の5乗))" とする。
 また,距離測定と角度測定は互いに影響を与えないものとし,角度測定以外の誤差は考えないものとする。
 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

  1. 24 mm
  2. 36 mm
  3. 48 mm
  4. 60 mm
  5. 72 mm

令和4年測量士補試験問題集 No15)

令和4年測量士補試験No.15の解答・解説

地形測量」の分野からの出題です。

解答は「4」となります。以下、詳しい計算手順の解説です。

水平位置の誤差を導く手順

水平位置の誤差を導くためには、次の手順で問題を解いていきます。

  • 問題文を図で表す
  • 点 B の水平位置の誤差を計算する

それでは、それぞれの手順について詳しく見ていきましょう!

手順1 問題文を図で表す

まずは、問題文を図で表します。

  • 基準点 A にトータルステーションを整置し、点Bを観測
  • 点 B を観測したときに 1’ 40"の水平方向の誤差
  • 点 A,B 間の水平距離は 120 m

ということですので、上記条件を図にすると次の通りです。

問題文を図で表す

問題文からだとA,B間の距離120mが

  • 点Aから観測した位置(点B)
  • 点Aから真の位置(点B)

のどちらを指すか読み取れないので、どちらも120mとしています。

手順2 点 B の水平位置の誤差を計算する

手順1で問題文の条件を図で表したら、続いて誤差を計算していきます。

点B(真の位置)から点B´(観測した位置)までの水平距離を計算して誤差を出したいところですが、点Bから点B´までの直線距離を計算しようとすると少し面倒です…

一方で、点Bから点B´までの円弧の距離を計算でだすのは比較的計算が簡単です。

また、今回の水平方向の誤差は「1′ 40″」と0°にみたないぐらい小さいです。

そこで本問では、点Bから点B´までの円弧の距離≒点Bから点B´までの直線距離(水平位置の誤差))とみなして、円弧の距離計算の結果を水平位置の誤差として代用します。

計算イメージまた、円弧の距離の計算は以下の公式で求められます。

円弧の計算以上のことから円弧の距離を求めてきたいのですが、まずは円弧の公式のθに当たる部分の単位がラジアンなので、そこに該当する角度である「1′ 40″」をラジアンに直していきます。

問題文から「1ラジアン=2 × 10^5(10の5乗)″」となっているので、比の計算で「1′ 40″」をラジアンに直せます。

ただし、単位が「″」で統一されていないとその計算ができないので、まずは「1′ 40″」を「″」の単位だけに変換しましょう!

1′=60″なので
1′ 40″=1′ +40″=60″ +40″=100″

と変換出来ました!

続いてラジアンの変換の計算をおこないます。変換後のラジアンの値をθとすると

1ラジアン:2 × 10^5(10の5乗)″ =θラジアン:100″
⇔2 × 10^5(10の5乗)″ × θラジアン=1ラジアン × 100″
⇔2 × 10^5(10の5乗)″ × θラジアン=100″
⇔θラジアン=(100″/2 × 10^5(10の5乗)″ )
⇔θラジアン=100″/200000″
⇔θラジアン=1/2000
θラジアン=0.0005

となります。

最後に、円弧の距離を求める計算を行います。

円弧の計算は「L=r×θ」で求められますので

  • L=L´=点BとB´が作る円弧の長さ
  • r=点Aから点Bまでの距離=120m
  • θ=∠BAB´=0.0005ラジアン

とすると

L´=r×θ
=120m×0.0005ラジアン
=0.06m
=60mm

となります。

よって、点BとB´が作る円弧の長さ(L´)=60mmです。

最初に、Bから点B´までの円弧の距離(L´)≒点Bから点B´までの直線距離(水平位置の誤差)(L))とみなすとしていたので、

点Bから点B´までの直線距離(水平位置の誤差)(L)=60mm

となります。

よって正しい選択肢は「4」となります。

令和4年測量士補試験No.15のまとめ

「地形測量」からの出題でした。

水平位置の誤差の問題は頻出ではありませんが、計算自体はとても単純なので覚えておけば良い得点源になります。

ぜひマスターしておきましょう!

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和4年のNO.15の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

さいごに

本ブログを参考にしていただきありがとうございます。

内容に関して不明な点、ご質問、指摘事項、感想などございましたら、コメントやメールにてご連絡ください。

励みになるとともに、本ブログをよりたくさんの皆様に有益なものにできると考えています。

ぜひお待ちしております。

お問い合わせ先:surveyor_kenzo☆aol.com
※ご連絡の際は☆を@に変更してください。

-測量士補試験攻略