必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和3年測量士補試験No.23の問題文
次のa〜eの文は,一般的な地図編集における転位の原則について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
- 道路と三角点が近接し,どちらかを転位する必要がある場合,三角点の方を転位する。
- 河川と等高線が近接し,どちらかを転位する必要がある場合,等高線の方を転位する。
- 海岸線と鉄道が近接し,どちらかを転位する必要がある場合,鉄道の方を転位する。
- 鉄道と河川と道路がこの順に近接し,道路を転位する際にそのスペースがない場合においては,鉄道と河川との間に道路を転位してもよい。
- 一般に小縮尺地図ほど転位による地物の位置精度への影響は大きい。
- a,b
- a,d
- b,c
- c,e
- d,e
(令和3年測量士補試験問題集 No23)
令和3年測量士補試験No.23の解答・解説
「地図編集」の分野からの出題です。
各選択肢の正誤は以下の通りです。
- 誤
- 正
- 正
- 誤
- 正
正解は「2」となります。
以下、各選択肢の詳しい解説です。
選択肢aについて
『道路と三角点が近接し,どちらかを転位する必要がある場合,三角点の方を転位する。』
この文章は誤りです。
三角点は標高及び平面直角座標系の座標がさだめられており、図化した地形を確認するときに位置を把握する上で最も重要な要因の1つです。
逆に道路形状は測量をした際に必ず誤差が出るものなので、三角点に比べると重要ではありません。
よって道路と三角点が近接し、どちらかを転位する必要がある場合は、道路を転位するようにします。
よって選択肢の文章と矛盾しますので、選択肢aは誤りということになります。
選択肢bについて
『河川と等高線が近接し,どちらかを転位する必要がある場合,等高線の方を転位する。』
この文章は正しいです。
河川は実際に地形として目に見えるものですが、等高線はあくまで同じ標高の部分を線でつないでいるものなので地形としてはそこにあることが確認できません。
地図編集を行う際には、目に見える地形を優先して描画する決まりがあるので、河川と等高線が近接した場合は等高線の方を転位するべきです。
よって選択肢の文章と同じ内容ですので、選択肢bは正しいと言えます。
選択肢cについて
『海岸線と鉄道が近接し,どちらかを転位する必要がある場合,鉄道の方を転位する。』
この文章は正しいです。
海岸線は自然に存在しているものですが、鉄道は人工的に作られたものです。
地図編集をする際は自然物を優先的に描画する決まりがあるので、海岸線と鉄道が近接した場合は鉄道の方を転位すべきです。
地図編集をする際には、海岸線などの自然地形を書いたものに対して、道路や鉄道、建物などの人工物を追加していくイメージを持つとわかりやすいです。
よって選択肢の文章と同じ内容ですので、選択肢cは正しいと言えます。
選択肢dについて
『鉄道と河川と道路がこの順に近接し,道路を転位する際にそのスペースがない場合においては,鉄道と河川との間に道路を転位してもよい。』
この文章は誤りです。
前提として、転位する際には各編集対象が存在する順番を入れ替えることをしてはいけません。
本問であれば鉄道→河川→道路の順番に近接しているのに対して転位した結果、鉄道→道路→河川の順番に変わってしまっています。
よって選択肢の内容と矛盾するため、選択肢dは誤りとなります。
本問の場合は道路を転位するスペースがないということですので、道路を転位できるスペースが空くように道路と隣接している地物を転位したうえで道路を転位する必要があります。
選択肢eについて
『一般に小縮尺地図ほど転位による地物の位置精度への影響は大きい。』
この文章は正しいです。
まず、小縮尺の地図とは「50万分の1」「100万分の1」「500万分の1」などの縮尺の地図を指します。
反対に、大縮尺の地図とは「500分の1」「2500分の1」「5000分の1」などの縮尺の地図を指します。
地図上で地物を転位した場合、大縮尺の地図と小縮尺の地図では実際の長さのズレ方が大きく変わります。
例えば地図上の道路を1mm転位したときの実際の長さのズレは
- 500分の1(大縮尺)→500mm
- 50万分の1(小縮尺)→500000mm
と小縮尺の方が大きい数値になりますので、小縮尺の地図の方が転位による位置精度への影響が大きく出やすいと言えます。
よって選択肢の文章と一致するので、選択肢eは正しいです。
令和3年測量士補試験No.23のまとめ
地図編集の分野からの出題でした。
地図編集には定められたルールがあります。
なぜルールが定められて、地形表現の優先順位があるのかは理由を考えるとイメージしやすいです。
頻出かつ、測量業に従事すると地図編集に触れる機会も多いと思うので、覚えておきましょう!
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