必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和3年測量士補試験No.2の問題文
次のa〜eの文は,公共測量における測量作業機関の対応について述べたものである。その対応として明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
- 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として,トータルステーションによる基準点測量の現地作業において,マスクを着用し,近い距離での大声の会話を避けて観測を行った。
- 基本測量成果を使用して行う基準点測量において,国土地理院のホームページで公開している基準点閲覧サービスから測量成果が閲覧できたため,それを印刷して既知点座標の数値として使用し作業を行った。
- 測量士補の資格を有していたため,測量士が立案した作業計画に従い,測量技術者として公共測量に従事した。
- GNSS 観測で得られたデータで基線解析を実施したところ,観測データの後半で不具合がおき,計画していた観測時間よりも短い時間のデータしか解析ができなかった。それでも作業規程に規定された観測時間は満たしており,FIX 解が得られ,点検計算でも問題はなかったので,そのまま作業を続けた。
- 測量計画機関から貸与された空中写真を,別の測量計画機関から同じ地域の作業を受注した場合に活用できるかもしれないと考え,社内で複写して保管した。
- a,b
- a,c
- b,e
- c,d
- d,e
(令和3年測量士補試験問題集 No.2より)
令和3年測量士補試験No.2の解答・解説
「測量に関する法規」の分野からの出題になります。
a→〇
b→✕
c→〇
d→〇
e→✕
となりますので解答は「3」となります。以下、詳しい解説です。
選択肢aについて
内容は正しいです。
建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインでは建設現場での取り組み例として以下のことを含め様々な事例が記載されています。
- 体温測定等による健康管理
- 作業・打合せ時のマスク着用
- 三密の回避
以上のことを踏まえると、選択肢aの文章にある基準点測量作業における取組として
- マスクを着用
- 近い距離での大声での会話を避ける
といった取り組みは正しいと言えます。
ただし建設現場では夏場における熱中症などの対策も必要です。
2mを目安とした距離をおいてマスクを外して会話する、遠距離で大きな声を出して意思の疎通を図るといった行為は現場でおこなわれています。
参考資料として建設業における新型コロナウィルス感染症予防対策ガイドラインのリンクを掲載します→建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン
選択肢bについて
内容は間違いです。
測量法 第三十条(測量成果の使用)に以下の通り記載があります。
基本測量の測量成果を使用して基本測量以外の測量を実施しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならない。
(測量法第三十条より)
この条文では基本測量の測量成果を使用するには国土地理院の長の承認を得る必要があると定めています。
選択肢bでは『基準点閲覧サービスから測量成果が閲覧できたため、それを印刷して既知点座標の数値として使用し作業を行った』とあるため、申請せずに使用していると考えられます。
よって条文で定めた「国土地理院の長の承認を得る」ことをしていないため、選択肢bは間違いとなります。
選択肢bに該当する測量法の内容を確認したい方のためにリンクを掲載します→測量法第三十条(測量成果の使用)
また、本問題で出てきた測量成果閲覧サービスについてもリンクを掲載いたしますので、興味がある方は触ってみてください→基準点成果等閲覧サービス
選択肢cについて
内容は正しいです。
測量法 第四十八条(測量士及び測量士補)に以下の通り記載があります。
技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は、第四十九条の規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない。
2 測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する。
3 測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する。
選択肢cでは『測量士が立案した作業計画に従い、測量技術者として公共測量に従事した』と記載があるため、上記の条文の内容に当てはまります。
選択肢cに該当する測量法の内容を確認したい方のためにリンクを掲載します→測量法第四十八条(測量士及び測量士補)
選択肢dについて
内容は正しいです。
測量成果として
- 測量法に準拠していること
- 作業規程に既定された内容を満たすこと
が成立していれば問題ありません。
選択肢dでは
- 作業規程で規定された観測時間を満たす
- FIX解を得る
- 点検計算でも問題ない
といった記載があるので成果として使用できます。
計画していた観測時間より短い時間のデータしか解析できなかったため正しくない内容と思われる方もいるかもしれません。
しかしながら「機械のトラブルを見越して観測時間を作業規程で規定された時間よりも長く計画する」ということは実際のGNSS観測の作業でもよくおこなわれています。
今回の選択肢の内容は、必要な観測時間よりも長く計画していたため機械トラブルにより同じ作業の繰り返しを防げた事例と考えられます。
また、選択肢dにでてきた作業規程の準則はこちらより確認できます→作業規程の準則
選択肢eについて
内容は間違いです。
貸与された資料は、目的以外に使用してはいけません。
また、複写(印刷・コピーなど)した資料は測量計画機関より定められた作業期間内であれば所持しても問題ないですが、作業期間を超えた場合は破棄することが望ましいです。
令和3年測量士補試験No.2のまとめ
「測量に関する法規」からの出題でした。
本問題では測量法に関する知識のほか、測量作業機関としての対応を問われています。
過去数年分の過去問を反復して解いていると何度か出てくる内容ですので、必ず押さえておきましょう!
また、コロナに関する内容も出題されていることから、時代に沿った行いも考えておく必要がありそうです。
令和3年測量士補試験No.2の類題
他年度の測量士補試験に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!
令和2年測量士補試験問題集NO.2→問題文及び解説記事はコチラ
令和4年測量士補試験問題集NO.2→問題文及び解説記事はコチラ
その他の測量士補試験の問題に挑戦!
令和3年のNO.2の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!
本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!
問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!
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