必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和2年測量士補試験No.2の問題文
次の a ~ e の文は,公共測量における測量作業機関の対応について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
- 測量計画機関から個人が特定できる情報を記載した資料を貸与されたことから,紛失しないよう厳重な管理体制の下で作業を行った。
- 基準点測量の現地作業中に雨が降り続き,スマートフォンから警戒レベル 3 の防災気象情報も入手したことから,現地の作業責任者が判断して作業を一時中止し,作業員全員を安全な場所に避難させた。
- 水準測量における新設点の観測を速やかに行うため,現地の作業責任者からの指示に従い,永久標識設置から観測までの工程を同一の日に行った。
- 現地作業で伐採した木材と使用しなかった資材を現地で処分するため,作業地付近の草地で焼却した後に,灰などの焼却したゴミを残さないように清掃した。
- 空中写真撮影において,撮影終了時の点検中に隣接空中写真間の重複度が規定の数値に満たないことが分ったが,精度管理表にそのまま記入した。
- a,b
- a,c
- b,e
- c,d
- d,e
(令和2年測量士補試験問題集 No.2)
令和2年測量士補試験No.2の解答・解説
「測量に関する法規」の分野からの出題になります。
a→正
b→正
c→誤
d→誤
e→正
となりますので解答は「4」となります。以下、詳しい解説です。
文章aについて
『測量計画機関から個人が特定できる情報を記載した資料を貸与されたことから,紛失しないよう厳重な管理体制の下で作業を行った。』
上記文章の行いは正しいです。
まず、個人が特定できる情報を記載された資料は個人情報保護の対象となります。
測量業のみならず、個人情報を取り扱う場合は
- 漏えい
- 滅失
- 改ざん
- 毀損(きそん)
などに注意しなければなりません。
個人情報の取扱いに関しては、国土交通省HPに掲載されている測量業務共通仕様書(案)の第132条にも提示されており、基本的事項として以下のような文章が書かれています。
第132条 個人情報の取扱い
1.基本的事項
受注者は、個人情報の保護の重要性を認識し、この契約による事務を処理するための個人情報の取扱いに当たっては、個人の権利利益を侵害することのないよう、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年 5 月 30 日法律第 57 号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成 15 年 5 月 30 日法律第 58 号)、行政手続における特定の個人を識別する番号の利用等に関する法律(平成 25 年法律第 27 号)等関係法令に基づき、次に示す事項等の個人情報の漏えい、滅失、改ざん又は毀損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。(測量業務共通仕様書(案)P14-15)
個人情報の取扱いについて厳重な管理体制をとるなど適切な対応ができているので文章aは正しいと言えます。
文章bについて
『基準点測量の現地作業中に雨が降り続き,スマートフォンから警戒レベル 3 の防災気象情報も入手したことから,現地の作業責任者が判断して作業を一時中止し,作業員全員を安全な場所に避難させた。』
上記文章の行いは正しいです。
現場作業において、事前に天候などの気象情報を調べることは安全面、作業進捗管理面からとても重要です。
また、リアルタイムに情報を収集して臨機応変に対応していくことも重要となっています。
安全面に関しては、国土交通省HPに掲載されている測量業務共通仕様書(案)の第133条にも提示されており、以下のような文章が書かれています。
第133条 安全等の確保
7.受注者は、屋外で行う測量業務の実施にあたっては豪雨、豪雪、出水、地震、落雷等の自然災害に対して、常に被害を最小限にくい止めるための防災体制を確立しておかなければならない。災害発生時においては第三者及び使用人等の安全確保に努めなければならない。(測量業務共通仕様書(案)P16-17)
よって、作業中に雨が降ってきたことで、防災気象情報を入手し作業員を安全な場所に一時的に避難させた作業責任者の判断は正しいため、文章bは正しいと言えます。
文書cについて
『水準測量における新設点の観測を速やかに行うため,現地の作業責任者からの指示に従い,永久標識設置から観測までの工程を同一の日に行った。』
上記文章の行いは間違いです。
国土地理院が定める作業規程の準則の64条の4に以下のような文章があります。
第3章 レベル等による水準測量 第4節 測量標の設置
第64条(観測の実施)
4 新設点の観測は、永久標識の設置後24時間以上経過してから行うものとする。(作業規程の準則 P35)
作業規程の準則では、永久標識設置後24時間以内の新設点の観測を禁止しています。
よって「永久標識設置から観測までの工程を同一の日に行った」文章cの行いは間違いであると言えます。
文章dについて
『現地作業で伐採した木材と使用しなかった資材を現地で処分するため,作業地付近の草地で焼却した後に,灰などの焼却したゴミを残さないように清掃した。』
上記文章の行いは間違いです。
国土交通省HPに掲載されている測量業務共通仕様書(案)の第133条では野焼き(野外で不要物を焼却すること)を禁止しています。
第133条 安全等の確保
5.(2)屋外で行う測量業務に伴い伐採した立木等を野焼きしてはならない。(測量業務共通仕様書(案)P16-17)
よって「現地作業で伐採した木材と使用しなかった資材を現地で処分するため,作業地付近の草地で焼却した」行いは不適切なので、文章dは間違いということになります。
文章eについて
『空中写真撮影において,撮影終了時の点検中に隣接空中写真間の重複度が規定の数値に満たないことが分ったが,精度管理表にそのまま記入した。』
上記文章は正しいです。
国土地理院が定める作業規程の準則の280条に以下のような文章があります。
第6章 空中写真測量 第5節 撮 影 第5款 フィルムの処理
第280条(フィルムの点検)
写真処理が終了したフィルムは、速やかに点検を行い、精度管理表等を作成し、再撮影が必要か否かを判定するものとする。(作業規程の準則 P89)
上記条文は、撮影結果のフィルムに対してチェックを行いそれを精度管理表にまとめるように指示をした文章です。また、再撮影が必要かどうかも同時に判断します。
万が一隣接空中写真の重複度などに既定外の数値が見つかった場合はその旨をしっかりと精度管理表に記載し、改めて再撮影を行えば問題ありません。
これは空中写真測量だけではなく、他の測量方法でも言えることです。
よって「精度管理表に重複度が足りない旨をそのまま記載した」文章eの行いは正しいと言えます。
文章a~eの正誤まとめ
文章a~eの正誤をまとめると、以下のようになります。
a→正
b→正
c→誤
d→誤
e→正
上記条件に当てはまる解答は「4」となります。
令和2年測量士補試験No.2のまとめ
「測量に関する法規」からの出題でした。
本問題では測量作業機関としての対応を問われています。
対応に関しては
- 作業規程の準則
- 測量法
- 測量業務共通仕様書(案)
などを参考にしていれば必ず載っている内容ですが、すべて覚えるのは難しいです。
そのため、過去数年分の過去問を反復して解くことで出題内容の傾向を掴み、必ず得点源にしましょう!
令和2年測量士補試験No.2の類題
他年度の測量士補試験に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!
令和3年測量士補試験問題集NO.2→問題文及び解説記事はコチラ
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さいごに
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