測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和4年(2022年)測量士補試験No.9の解答・解説~基線ベクトル成分の計算~

あさひ
この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和4年測量士補試験のNo.9の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。

令和4年測量士補試験No.9の問題文

 GNSS 測量機を用いた基準点測量において,基準点 A から基準点 B,基準点 A から基準点 Cまでの基線ベクトルを得た。表 9 は,地心直交座標系における X 軸,Y 軸,Z 軸方向について,それぞれの基線ベクトル成分(DX,DY,DZ)を示したものである。基準点 B から基準点C までの基線ベクトルを求めたとき,基線ベクトル成分の組合せとして正しいものはどれか。次の中から選べ。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

表9表9

  1. ΔX -50.000m ΔY -400.000m ΔZ -5.000m
  2. ΔX +50.000m ΔY +400.000m ΔZ +5.000m
  3. ΔX -350.000m ΔY -200.000m ΔZ -15.000m
  4. ΔX -50.000m ΔY -400.000m ΔZ -15.000m
  5. ΔX +350.000m ΔY +200.000m ΔZ +15.000m

令和4年測量士補試験問題集 No9)

令和4年測量士補試験No.9の解答・解説

汎地球測位システム測量」の分野からの出題です。

解答は「1」となります。

以下、詳しい計算手順についての解説です。

計算に使用する関数表はコチラを参考にしてください。→関数表

基準点Bから基準点Cまでの基線ベクトルの求め方

基準点 B から基準点 C までの基線ベクトルを出すには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. XY平面上に基準点A、B、Cを配置する
  2. 基準点BからCまでの基線ベクトルを求める

手順を見てもらえればわかりますが、単純な引き算の問題になります。

基線ベクトルの意味さえ理解していれば大丈夫です!

まずは手順1から、詳しく解説を見ていきましょう!

手順1 XY平面上に基準点A、B、Cを配置する

基準点A,B,Cの配置が、XY平面上でどうなるか考えてみます。

表9

上の表を確認すると「区間A→B」と「区間A→C」の基線ベクトル成分がそれぞれ書いてあります。

基線ベクトル成分とは「基準となる位置からそれぞれの方向X,Y,Zにどのくらい離れているか」を表しています。

例えば「区間A→Bの基線ベクトルが、ΔX=-150.000m、ΔY=+100.000m、ΔZ=-5.000m」の場合は「基準点Aに立ったときにX方向に-150.000m、Y方向に+100.000m、Z方向に-5.000m進んだところに地点Bがある」ということを表します。

もしも基準点Aの座標が(0,0,0)であれば、基準点Bはどこにあるのでしょうか?

「基準点AからX方向に-150.000m、Y方向に+100.000m進む、Z方向に-5.000m」ので、基準点Bの座標は(-150,100,-5)ということになります。

A→Bの位置関係

基準点Cについても同じ考え方ができるので、基準点Cの座標は(-200,-300,-10)と考えることができます。

よって、基準点Aの座標を(0,0)としたときには各基準点の座標は次のようになります。

  • 基準点A(0,0,0)
  • 基準点B(-150,100,-5)
  • 基準点C(-200,-300,-10)

さらに、上記それぞれの基準点をXY平面上に配置すれば、下図のように表すことができます。

A→Cの位置関係

これで、基準点A、B、Cの位置関係を把握することができました!

次の手順で、実際に区間B→Cの基線ベクトルを求めてみましょう!

手順2 基準点BからCまでの基線ベクトルを求める

手順1で各基準点の位置関係を把握したので、あとは基準点B→Cの基線ベクトルを求めていきます。

基準点B→Cの基線ベクトルなので「基準点Bから基準点Cに進むために、X,Y,Zの方向にそれぞれどのぐらい進めばよいか」を考えれば答えが出ます。

B→Cの位置関係

どのようにB→Cまで進む距離を求めるかですが、これは単純に各方向の座標を引き算していくだけで大丈夫です!

基準点B→Cのそれぞれの基線ベクトルをΔx,Δy,Δzとすると、

Δx=(基準点CのX座標)-(基準点BのX座標) 
=(-200)-(-150)
=-200+150
=-50

Δy=(基準点CのY座標)-(基準点BのY座標) 
=(-300)-(100)
=-300-100
=-400

Δy=(基準点CのZ座標)-(基準点BのZ座標) 
=(-10)-(-5)
=-10+5
=-5

とそれぞれ計算できます。

よって基準点Bから基準点Cまでの基線ベクトル=(-50,-400,-5)となります。

選択肢の数値と一致するのは「1」の組み合わせなので、正解は「1」となります。

令和4年測量士補試験No.9のまとめ

「汎地球測位システム測量」からの出題でした。

基線ベクトルに関する問題は例年よく出る問題です。

斜距離を求めるパターンなどもありますが、本問のように基準点の座標を引き算するだけで終わる問題は計算が単純で得点が取りやすいので必ずおさえたい問題になります!

令和4年測量士補試験No.9類題

過去に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!

令和3年測量士補試験問題集NO.8→問題文及び解説記事はコチラ

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和4年のNO.8の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

さいごに

本ブログを参考にしていただきありがとうございます。

内容に関して不明な点、ご質問、指摘事項、感想などございましたら、コメントやメールにてご連絡ください。

励みになるとともに、本ブログをよりたくさんの皆様に有益なものにできると考えています。

ぜひお待ちしております。

お問い合わせ先:surveyor_kenzo☆aol.com
※ご連絡の際は☆を@に変更してください。

-測量士補試験攻略