測量士補試験攻略

【ひと記事で丸わかり】令和4年(2022年)測量士補試験No.7の解答・解説~偏心観測における計算~

st-kaiwa1]この記事を書いているのは現役の測量士です。本記事では令和4年測量士補試験のNo.7の内容について詳しく解説していきます。

必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。[/st-kaiwa1]

令和4年測量士補試験No.7の問題文

 図7は,トータルステーションによる偏心観測について示したものである。図 7 のように,既知点 B において,既知点 A を基準方向として新点 C 方向の水平角を測定しようとしたところ,既知点 B から既知点 A への視通が確保できなかったため,既知点 A に偏心点 P を設けて,水平角 T ′,偏心距離 e 及び偏心角 Φ の観測を行い,表 7 の結果を得た。このとき,既知点 A 方向と新点 C 方向の間の水平角 T は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
ただし,既知点 A,B 間の距離 S は,1,500m であり,S 及び e は基準面上の距離に補正されているものとする。
また,角度 1 ラジアンは,(2×10^(5乗))″ とする。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

図7図7_2

表7

Φ210° 00’ 00"
e2.70 m
50° 41’ 00"
  1. 50°30’ 00"
  2. 50°32’ 00"
  3. 50°34’ 00"
  4. 50°36’ 00"
  5. 50°38’ 00"

令和4年測量士補試験問題集 No7)

令和4年測量士補試験No.7の解答・解説

多角測量」の分野からの出題です。

解答は「5」となります。

以下、本問についての詳しい計算手順です。

計算に使用する関数表はコチラを参考にしてください。→関数表

水平角Tを求めるための計算手順

水平角Tを求めるためには、以下の手順を踏んでいきます。

  1. 問題文からわかる情報を図に書き込む
  2. T´とTの角度の差を求める
  3. Tを求める

それでは、それぞれの手順について詳しく解説していきます!

手順1 問題文からわかる情報を図に書き込む

まずは、問題文からわかる情報を整理していきます。

問題文及び表7から、以下の数値が読み取れます。

  • AB間の距離S=1,500m
  • 偏心角Φ=210° 00’ 00"
  • 偏心距離e=2.70m
  • 水平角T´=50° 41’ 00"

上記のそれぞれの数値を図7に書き込むと以下の通りです。

図7に書き込む上の図をよく見てみると、既知点A、Bと偏心点Pが作る三角形に、問題文からわかる数値全てが関わっていることが分かります。

そこで、次の手順では三角形ABPを利用してT´(50° 41′ 00″)とTの角度の差を求めていきます。

手順2 T´とTの角度の差を求める

本問ではTを求めることが目的です。

三角形ABPのうちの∠ABPがわかればT´から∠ABPをひくことでTの角度を求めることができそうですね。

そこで∠ABP=Xとして手順1で書いた図に追加します。

図7にXを追記ここで、改めて三角形ABPについて注目してみましょう。

三角形ABPの∠Pについては、三角形の外側の角度が210°とわかっています。

そのため内側の角度は「360°-210°=150°」となります。

以上のことをふまえて三角形ABPを図に表すと次のようになります。

三角形ABP2この三角形ABPでわかっている数値の位置関係から、今回は正弦定理という定理を使用します。

正弦定理とは、下図のように三角形の各辺・各角度のsinの値が持つ関係性のことです。

正弦定理

本問の三角形ABPに当てはめてみると、着色した部分が正弦定理のセットになります。

三角形ABPに正弦定理を適用よって正弦定理から

sinxの計算となり、sin X=0.0009となります。

sinの値が小さいとき(=大体0.1まで)は「sinの値が角度(ラジアン)になる」の関係が成り立つので

sin X=0.0009より
X=0.0009(ラジアン)

となります。

問題文から、1ラジアンは2×10^(5乗)″とすることがわかっているので、

X=0.0009(ラジアン)
=0.0009×2×10^(5乗)″
=180″

60″=1′より
180″=3′

よってX=180″=3′

となり、角度Xが3′であることがわかりました。

手順3 Tを求める

手順2では、Tを求めるために必要なXを求めました。

X=3′だったので、該当する箇所を図にまとめると以下のようになります。

Tを求めるT´から3′を差し引けばTの値が出そうですね。

よって

T=T´-3′
=50° 41′ 00″-3′
=50°38′00″

となり、T=50°38′00″となりました。

選択肢と比べると5の数値が一致しますので、本問の解答は「5」となります。

令和4年測量士補試験No.7のまとめ

「多角測量」からの出題でした。

偏心による角度の問題は、非常によく出る問題です。

毎回路線の形状は違えど、やることは変わらないのでしっかりと解答方法を覚えて、得点源の1つにしていきましょう!

その他の測量士補試験の問題に挑戦!

令和4年のNO.7の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!

本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!

問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!

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