必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和4年測量士補試験No.21の問題文
図 21 は,国土地理院刊行の電子地形図 25000 の一部(縮尺を変更,一部改変)である。この図にある税務署の経緯度で最も近いものを次のページの中から選べ。
ただし,表 21 に示す数値は,図の中にある裁判所,保健所の経緯度を表す。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。
- 北緯 33° 51’ 15" 東経 130° 51’ 58"
- 北緯 33° 52’ 32" 東経 130° 52’ 09"
- 北緯 33° 52’ 35" 東経 130° 52’ 10"
- 北緯 33° 52’ 47" 東経 130° 51’ 37"
- 北緯 33° 53’ 04" 東経 130 °52’ 29"
(令和4年測量士補試験問題集 No21)
令和4年測量士補試験No.21の解答・解説
「地図編集」の分野からの出題です。
正解は「2」となります。
以下、解答を導くための詳しい手順の解説です。
図から経緯度を求めるための手順
本問は地理院地図の一部と提示された表から、目標地物(今回であれば税務署)の経緯度を求める問題です。
経緯度を求めるためには、以下の手順を踏む必要があります。
- 図の中から表で提示された裁判所・保健所と税務署を見つける
- 定規を使用して、図上で裁判所・保健所と税務署の間の長さを測り図に書き込む
- 裁判所と保健所の経緯度の差を計算する
- 裁判所・保健所から税務署までの経緯度の差を出す
- 税務署の経緯度を計算する
以上のことから、この問題を解くためには
- 地図記号の知識
- 定規
が必要となってきます。
最低限の地図記号を覚えて、定規を準備したうえで本問にのぞみましょう!
ちなみに地図記号は国土地理院がまとめてくれているので、そちらを参考にしてみてください!
参考リンク→地図記号(国土地理院)
手順1 図の中から表で提示された裁判所・保健所と税務署を見つける
まずは図21の中から
- 裁判所
- 保健所
- 税務署
を見つけます。
それぞれの記号は次の通りです。
上図3つの記号を図21の中から探してみると、下図の場所にありました!
見つけたら、必ずシャープペンや鉛筆など測量士補試験に持ち込めるもので印をつけるクセをつけておきましょう!
手順2 定規を使用して、図上で裁判所・保健所と税務署の間の長さを測り図に書き込む
手順1で裁判所・保健所と税務署の地図記号を見つけたら、続いてそれぞれの間の長さを測っていきましょう。
それぞれの間の長さを測るときは、まず下図のように定規で三角点と博物館の記号場を通る垂直および水平な直線を書いていきます。
今回の場合は、裁判所を赤色、保健所を緑色、税務署を青色で線を引いています。
この線を描きこんだら、それぞれの間の長さを実際に定規で測っていきます。
問題用紙やPCの画面上に定規をあてて、直接長さを測るだけで大丈夫です。
今このブログを表示しているデバイスによって長さは変わってきますが、今回は以下の通りとして書き込んでいきます。
手順3 裁判所と保健所の経緯度の差を計算する
手順2で図上の長さを測ったら、続いて裁判所と保健所の経緯度の差を計算します。
表21を参考にすると
となっていますので、経緯度のそれぞれの差は
- (緯度)33° 52’ 49"-33° 52’ 43"
- (経度)130° 52’ 42"-130° 51’ 56"
を計算することで求められます。
まず、緯度の差の計算をしていきましょう!
「°」と「′」の数値はそれぞれ「33°」と「52′」と同じ値になっていますので、「″」の数値のみ計算すれば差を求められそうです。
つまり、
緯度の差=49″-43″=6″
となります。
よって、裁判所と保健所の経度は6″離れていることがわかりました。
続いて、経度の差の計算をしていきます。
「°」の数値は「130°」と同じ数値になっていますが、「′」と「″」の値は別々の値になっていますのでそれぞれ計算する必要があります。
つまり、
経度の差= 52′ 42″-51′ 56″
の計算をする必要があります。
52′ 42″は「1′=60″」を利用すれば、51′ 102″とすることができます。
よって
経度の差= 52′ 42″-51′ 56″
=51′ 102″-51′ 56″
=46″
となりました。
緯度の差と経度の差をまとめると、
緯度の差=6″
経度の差=46″
となります。
計算が終わったら、忘れずに図の中に記入しておきましょう!
手順4 裁判所・保健所から税務署までの経緯度の差を出す
手順2で測った「図上の各地物同士の長さ」と手順3で計算した「裁判所と保健所の経緯度の差」を利用して、裁判所もしくは保健所から税務署までの経緯度の差を出します。
今回は、図の裁判所と税務署の間の経緯度の差を出してみましょう!
経緯度の差を出すためには、図上の長さと経緯度の差の比率を利用します。
まず、手順2で裁判所と保健所の間の縦の長さが0.8cm、緯度の差が6″とわかっています。
つまり図上で測った縦の長さと緯度の差の比率は「0.8cm:6″」であることがわかりますね。
ここで、裁判所と税務署の経度の差をXとすると、図上の裁判所と税務署の間の長さは1.6cmなので以下のような関係になります。
0.8cm:6″=1.6cm:X″
これを計算すると、
0.8cm:6″=1.6cm:X″
⇔6″×1.6cm=0.8cm×X
⇔X=(6″×1.6cm)/ 0.8cm
⇔Ⅹ=12″
となります。
同様に緯度を計算する場合は、図上で裁判所と保健所の間を測った横の長さが5.7cm、経度の差が46″と分かっています。
ここで、裁判所と税務署の緯度の差をYとすると、図上の裁判所と税務署の間の長さは1.7cmなので以下のような関係になります。
5.7cm:46″=1.7cm:Y″
これを計算すると
5.7cm:46″=1.7cm:Y″
⇔46″×1.7cm=5.7cm×Y
⇔Y=(46″×1.7cm)/5.7cm
⇔Y=13.719...≒14
となります。
よって、裁判所と税務署の間の経緯度の差をまとめると
- 経度の差=12″
- 緯度の差=14″
となります。
手順5 税務署の経緯度を計算する
手順4で裁判所と税務署の経緯度の差を求めたら、最後に博物館の経緯度を計算します。
裁判所と税務署の経緯度の差は
- 緯度の差=12″
- 経度の差=14″
とわかっているので、あとは裁判所の経緯度からそれぞれの差を足したり引いたりするだけです。
図上の裁判所から税務署の位置を見ると南東方向(=図で言うと右斜め下)にあることがわかります。
- 緯度の場合→北側に位置する場合は+、南側に位置する場合は-
- 経度の場合→東側に位置する場合は+、西側に位置する場合は-
とそれぞれ対応すればよいので、今回の位置関係の場合は裁判所に対して
- 緯度→33° 52’ 43"-12″
- 経度→130° 51’ 56"+14″
と計算することで税務署の位置が求まります。よって
- 33° 52’ 43"-12″=33° 52′ 31″
- 130° 51’ 56"+14″=139° 52′ 10″
ですので、最も近しい選択肢の値は2となります。
本問は机上で定規をあてて測るなどするため多少の誤差は出ます。
必ず選択肢の数値が合うわけではないので、最も近いものを選びましょう!
令和4年測量士補試験No.21のまとめ
地図編集の分野からの出題でした。
問題文にある図に対して実際に定規をあてて測るという少しアナログな手法をとりますが、頻出の問題です。
特に測量業ではこういった紙の図面を定規で測って実際の距離を出すことも少なくないので、覚えておいて損はない内容となります。
必ずマスターしておきましょう!
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令和2年測量士補試験問題集NO.21→問題文及び解説記事はコチラ
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