必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和3年測量士補試験No.4の問題文
次の文は,地球の形状及び測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
1.標高とは,地球の形状と大きさに近似した回転楕円体の表面から,平均海面を陸側に延長したと仮定した面までの高さである。
2.測量法(昭和 24年法律第 188 号)では,地球上の位置を緯度,経度で表すための基準として,地球の形状と大きさに近似した回転楕円体が用いられる。
3.地心直交座標系の座標値から,当該座標の地点における緯度,経度及び楕円体高へ変換できる。
4.GNSS 測量で直接求められる高さは,楕円体高である。
5.ジオイドは,重力の方向と直交しており,地球の形状と大きさに近似した回転楕円体の表面に対して凹凸がある。(令和3年測量士補試験問題集 No.4より)
令和3年測量士補試験No.4の解答・解説
1→✕
2→〇
3→〇
4→〇
5→〇
となりますので解答は「1」となります。以下、詳しい解説です。
選択肢1について
内容は間違いです。
国土地理院のHPによると「東京湾の平均海面を0mの基準面とし、基準面からの高さを標高と呼ぶ」という旨の記載があります。
一方で1の文章には「標高とは地球の形状と大きさに近似した回転楕円体の表面から,平均海面を陸側に延長したと仮定した面までの高さ」という記載があります。
これらの文章をザックリと図に表すとこのようになります。
この図を参考にすると、選択肢1の文章は標高の説明文ではないことが分かります。
ちなみに選択肢1の文章のように、回転楕円体の表面から平均海面を陸側に延長したと仮定した面までの高さはジオイド高と言います。
ジオイド高は測量士補試験では頻出の内容なので、一緒におさえておきましょう!
標高に関する説明は国土地理院のサイトでも確認できます→標高と海抜と水準点(国土地理院HP)
選択肢2について
内容は正しいです。
測量では、地球の形状と大きさに近似した回転楕円体を用いています。
現在使用されている楕円体はGRS80と呼ばれるもので測量士補試験や実際の測量作業でもよく出てくるワードです。
地球には本来、山や谷があってとてもデコボコした表面をしているのですが、これだと高さや緯度経度の計算がとてもしづらいのです…
そのため仮想的に地球の表面が滑らかになったような楕円体を計算に利用するんですね。
そして現在用いられている緯度と経度の数値は、この楕円体を基準に定めています。
楕円体と緯度経度に関する説明は国土地理院のサイトでも確認できます→日本の測地系(国土地理院HP)
選択肢3について
内容は正しいです。
地心直交座標とは地球を楕円体と考えたときに、その中心を0(原点)として地球上の位置をX,Y,Zで表すものです。
あなたがその場で立ったときに、横向きの方向をX,Y、上下方向をZで表すとイメージすると考えてください。
そしてこのX,Y,Zの座標は、緯度・軽度・楕円体高へ変換が可能です。
詳しい数式ははぶきますが、次に貼るリンクから地心直交座標と緯度経度の相互変換を体験できます。
地心直交座標系⇔緯度・軽度ができるサイト→緯度・経度と地心直交座標の相互換算
地心直交座標系と緯度経度に関する説明は国土地理院のサイトでも確認できます→日本の測地系(国土地理院HP)
選択肢4について
内容は正しいです。
GNSS測量で直接求められる高さは楕円体高となります。
楕円体高は回転楕円体の表面からの高さとなっていて、
楕円体高=ジオイド高+標高
で求めることが可能です。
そのためGNSS測量で得られた高さの値は、そのまま標高としては使用できません。
GNSS測量に関する高さの話はみちびき(準天頂衛星システム)のHPから確認できます→ジオイドとは何か?[後編]
選択肢5について
内容は正しいです。
ジオイドとは、平均海面の地点の高さのことを言います。
この平均海面は潮の満ち引きがなくて安定した状態…つまり重力の影響が0の安定している状態と言えます。
(逆に言えば、潮の満ち引きは重力が場所によって違うから起こる現象とも言えます。)
重力の影響が0で潮の満ち引きがないということは地球の中心に向かって重力が進んでいるということなので、言い換えれば重力と直交しているということです。
そして地球の重力は細かく見れば場所によって違うため、平均海面の地点を繋ぎ合わせるとデコボコな形状となります。
ジオイドに関する説明として、国土地理院及びみちびき(準天頂衛システム)のHPのリンクを載せておきます。
ジオイドとは何か? [前編](みちびき(準天頂衛星システム))
令和3年測量士補試験No.4のまとめ
地球の形状及び測量の基準に関する出題でした。
この分野は頻出になるので、そのほかの類題も一緒に解いて知識を深めてみてください!
ジオイドなどは少し理解しづらいかもしれませんが、根気よく勉強を続けていきましょう!
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令和2年測量士補試験問題集NO.4→問題文及び解説記事はコチラ
令和4年測量士補試験問題集NO.4→問題文及び解説記事はコチラ
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令和3年のNO.4の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!
本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!
問題解説のまとめ記事はコチラからどうぞ!→過去問に挑戦!現役測量士の解説を読んで測量士補試験を攻略しよう!
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