必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和2年測量士補試験No.21の問題文
※原本の問題文にある記号の関係から、一部文章の内容を変更しています。
国土地理院は,過去に起きた津波,洪水,火山災害,土砂災害などの自然災害の情報を伝える新たな地図記号「自然災害伝承碑」をウェブ地図「地理院地図」及び 国土地理院刊行の 1/25,000 地形図に掲載する取組を行っている。
図 21 は,国土地理院刊行の 1/25,000 地形図の一部(縮尺を変更)である。この図にある自然災害伝承碑(記号1)の経緯度で最も近いものを次のページの中から選べ。
ただし,表 21 に示す数値は図の中にある地図記号の経緯度を表している。また、図21では自然災害伝承碑の地図記号を記号2で囲んでいる。
- 東経139°44′49″ 北緯35°40′20″
- 東経139°44′54″ 北緯35°40′14″
- 東経139°44′54″ 北緯35°40′26″
- 東経139°45′31″ 北緯35°40′14″
- 東経139°45′50″ 北緯35°40′41″
(令和2年測量士補試験問題集 No.21)
令和2年測量士補試験No.21の解答・解説
「地図編集」の分野からの出題です。
正解は「2」となります。
以下、解答を導くための詳しい手順の解説です。
図にある自然災害伝承碑の経緯度を求める手順
地理院地図上の自然災害伝承碑の経緯度を求めるためには、次の手順を踏んでいきます。
- 図の中から「博物館」「病院」を見つける
- 図上の「自然災害伝承碑」と「博物館」「病院」それぞれの距離を定規で測る
- 「博物館」と「病院」の差を計算する
- 「博物館」「病院」と「自然災害伝承碑」の経緯度の差を計算する
- 「自然災害伝承碑」の経緯度を計算する
前提として、
- 博物館と病院の地図記号を覚えていること
- 試験中に定規を持っていること
の2点が必要となります。どちらかの要素がない時点でこの問題は解けなくなってしまうので、注意しましょう。
それでは、各手順の説明に入ります。
手順1 図の中から「博物館」「病院」を見つける
まずは、図の中から
- 博物館
- 病院
の2つの地図記号を見つけます。博物館および病院の記号は次の通りです。
上記記号を図21の中から探すと、下図の赤丸の場所にあることが分かります。
実際の試験では、見つけたら必ず鉛筆で印をつけておきましょう。
手順2 図上の「自然災害伝承碑」と「博物館」「病院」それぞれの距離を定規で測る
続いて、実際に試験用紙に載っている図21に定規をあてて
- 自然災害伝承碑
- 博物館
- 病院
のそれぞれの記号間の距離を測ります。
本ブログはPCで見ている方が多いと思いますので、今回はディスプレイ上で測った値を記載していきます。
この長さは人によって個人差が出ると思いますので、あくまで一例としてご確認ください。
実際にPCのディスプレイ上で定規をあてると、私の場合は次の値が出ました。
手順3 「博物館」と「病院」の差を計算する
この手順では、博物館と病院の経緯度の差を出していきます。
表21から博物館と病院の経緯度は
- 博物館と病院の経度の差=139°45′38″-139°44′43″
- 博物館と病院の緯度の差=35°40′35″-35°40′08″
として計算することができます。
詳しく計算していくと
博物館と病院の経度の差=139°45′38″-139°44′43″
1′=60″なので、45′38″は44′98″と置き換えられる
よって、139°45′38″-139°44′43″
=139°44′98″-139°44′43″
=55″
博物館と病院の緯度の差=35°40′35″-35°40′08″
=27″
よって、博物館と病院の経緯度のそれぞれの差は
- 博物館と病院の経度の差=55″
- 博物館と病院の緯度の差=27″
となります。本手順で計算した経緯度の差は、問題文にしっかりとメモしておきましょう。
手順4 「博物館」「病院」と「自然災害伝承碑」の経緯度の差を計算する
手順3で博物館と病院の経緯度の差がわかったので、続いて自然災害伝承碑と博物館・病院の経緯度の差を計算します。
自然災害伝承碑と博物館、もしくは自然災害伝承碑と病院の経緯度の差のどちらかが分かればいいのですが、今回は自然災害伝承碑と病院の経緯度の差を例に計算していきます。
自然災害伝承碑と病院の経緯度の差を計算するためには、図と経緯度の比率がわかっていなければなりません。
手順3の計算結果と図から、経度の差が55″あるところは図上で11.0cm、緯度の差が27″あるところは図上で6.8cmであることがわかります。
つまり、図と経度および緯度の比率は
図:経度=11.0cm:55″
図:緯度=6.8cm:27″
上の比率と同様に、図と自然災害伝承碑と病院の経緯度の差(経度の差をX、緯度の差をYとする)の比率を表すと、
図:経度=2.2cm:X″
図:緯度=1.7cm:Y″
となります。
あとはそれぞれの比率を比較して計算すると
図と自然災害伝承碑と病院の経度の差
11.0cm:55″=2.2cm:X″
⇔11.0cm×X″=55″×2.2cm
⇔11.0×X=121
⇔X=121÷11.0
⇔X=11
図と自然災害伝承碑と病院の緯度の差
6.8cm:27″=1.7cm:Y″
⇔6.8cm×Y″=27″×1.7cm
⇔6.8×Y=45.9
⇔Y=45.9÷6.8
⇔Y≒7
となるので、自然災害伝承碑と病院の経緯度の差は
経度の差X=11″
緯度の差Y=7″
となりました。
手順5 「自然災害伝承碑」の経緯度を計算する
手順4で自然災害伝承碑と病院の経緯度の差が
経度の差X=11″
緯度の差Y=7″
とわかりました。
病院の北東方向に自然災害伝承碑がある位置関係になっていますので、病院の経緯度に自然災害伝承碑と病院の経緯度の差を足してあげれば、自然災害伝承碑の経緯度を計算することができます。
自然災害伝承碑の経度=病院の経度+11″
=139°44′43″+11″
=139°44′55″
自然災害伝承碑の緯度=病院の緯度+7″
=35°40′08″+7″
=35°40′15″
となります。
以上のことから、自然災害伝承碑の経緯度は「東経139°44′55″ 北緯35°40′15″」となりますので、最も近しい選択肢は「2」となり、正解は「2」となります。
令和2年測量士補試験No.21のまとめ
地図編集の分野からの出題でした。
問題文にある図に対して実際に定規をあてて測るという少しアナログな手法をとりますが、頻出の問題です。
特に測量業ではこういった紙の図面を定規で測って実際の距離を出すことも少なくないので、覚えておいて損はない内容となります。
必ずマスターしておきましょう!
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