必要な用語や手法に関する解説も一緒におこなっていきますので、参考書代わりに本記事を使ってみてください。
目次
令和3年測量士補試験No.21の問題文
図 21 は,国土地理院がインターネットで公開しているウェブ地図「地理院地図」の一部(縮尺を変更,一部を改変)である。この図にある博物館の経緯度で最も近いものを次のページの中から選べ。
ただし,表 21 に示す数値は,図の中にある三角点の標高及び経緯度を表す。
- 東経139° 02′ 07″ 北緯37° 55′ 08″
- 東経139° 02′ 11″ 北緯37° 54′ 58″
- 東経139° 02′ 13″ 北緯37° 55′ 08″
- 東経139° 02′ 20″ 北緯37° 55′ 00″
- 東経139° 02′ 21″ 北緯37° 55′ 09″
(令和3年測量士補試験問題集 No21)
令和3年測量士補試験No.21の解答・解説
「地図編集」の分野からの出題です。
正解は「3」となります。
以下、解答を導くための詳しい手順の解説です。
図から経緯度を求めるための手順
本問は地理院地図の一部と提示された表から、目標地物(今回であれば博物館)の経緯度を求める問題です。
経緯度を求めるためには、以下の手順を踏む必要があります。
- 図の中から表で提示された三角点と目標地物を見つける
- 定規を使用して、図上で三角点と目標地物の間の長さを測り図に書き込む
- 三角点同士の経緯度の差を計算する
- 三角点から博物館までの経緯度の差を出す
- 博物館の経緯度を計算する
以上のことから、この問題を解くためには
- 地図記号の知識
- 定規
が必要となってきます。
最低限の地図記号を覚えて、定規を準備したうえで本問にのぞみましょう!
ちなみに地図記号は国土地理院がまとめてくれているので、そちらを参考にしてみてください!
参考リンク→地図記号(国土地理院)
手順1 図の中から表で提示された三角点と目標地物を見つける
まずは、問題文を読んで提示された図の中から三角点と目標地物を見つけます。
上図2つの記号を図21の中から探してみると、下図の場所にありました!
見つけたら、必ずシャープペンや鉛筆など測量士補試験に持ち込めるもので印をつけるクセをつけておきましょう!
手順2 定規を使用して、図上で三角点と目標地物の間の長さを測り図に書き込む
手順1で三角点と目標地物の地図記号を見つけたら、続いて三角点と目標地物のそれぞれの間の長さを測っていきます。
それぞれの間の長さを測るときは、まず下図のように定規で三角点と博物館の記号場を通る垂直および水平な直線を書いていきます。
この線を描きこんだら、三角点と博物館のそれぞれの間の長さを定規で測っていきます。
問題用紙やPCの画面上に定規をあてて、直接長さを測るだけで大丈夫です。
今このブログを表示しているデバイスによって長さは変わってきますが、今回は以下の通りとして書き込んでいきます。
手順3 三角点同士の経緯度の差を計算する
手順2で図上の長さを測ったら、続いて三角点同士の経緯度の差を計算します。
表21を参考にするととなっていますので、経緯度のそれぞれの差は
- (経度)139° 02′ 55″-139° 02′ 09″
- (緯度)37° 55′ 22″-37° 54′ 38″
を計算することで求められます。
それでは、まずは経度について計算していきます。
経度の139° 02′までは数値が一緒ですので「秒の単位」だけ計算すれば差を求められそうです。
よって
経度の差=55″ -09″ =46″
となります。
続いて緯度の計算ですが37°までは一緒ですが「分の単位」から数値が違いますので
緯度の差= 55′ 22″-54′ 38″
を計算する必要があります。
まずは通常の数字と同じように単位が一番小さいところから計算するので「秒の単位」から計算していきましょう!
「22-38」を計算したいのですが、このままではマイナスになってしまい計算できません。
そこで55′ から60″ を22″に渡しましょう!
つまり55′ 22″を54′ 82″に変換するということです!
よって緯度の差= 54′ 82″-54′ 38″=44″
となります。まとめると
- 経度の差=46″
- 緯度の差=44″
となります。
三角点同士の経緯度の差を出したら、忘れずに図上に記載しておきましょう!
手順4 三角点から博物館までの経緯度の差を出す
手順2で測った「図上の各地物同士の長さ」と手順3で計算した「三角点同士の経緯度の差」を利用して、三角点から博物館までの経緯度の差を出します。
今回は、図の左上の「標高29.5の三角点」と博物館の間の経緯度の差を出してみましょう!
経緯度の差を出すためには、図上の長さと経緯度の差の比率を利用します。
まず、手順2で図上の三角点同士の間の縦の長さが6.7cm、緯度の差が44″とわかっています。
つまり図上で測った縦の長さと緯度の差の比率は「6.7cm:44″」であることがわかりますね。
よって三角点と博物館の経度の差をXとすると、以下のような関係になります。
6.7cm:44″=2.1cm:X″
これを計算すると、
6.7cm:44″=2.1cm:X″
⇔44″×2.1cm=6.7cm×X
⇔X=(44″×2.1cm)/ 6.7cm
⇔Ⅹ=13.791...≒14″
となります。
同様に緯度を計算する場合は、図上で三角点同士の間を測った横の長さが5.6cm、経度の差が46″と分かっています。
よって三角点と博物館の緯度の差をYとすると、以下のような関係になります。
5.6cm:46″=0.6cm:Y″
これを計算すると
5.6cm:46″=0.6cm:Y″
⇔46″×0.6cm=5.6cm×Y
⇔Y=(46″×0.6cm)/5.6cm
⇔Y=4.928...≒5
となります。
図の左上の「標高29.5の三角点」と博物館の間の経緯度の差をまとめると
- 経度の差=14″
- 緯度の差=5″
となります。
手順5 博物館の経緯度を計算する
手順4で三角点と博物館の経緯度の差を求めたら、最後に博物館の経緯度を計算します。
三角点と博物館の経緯度の差は
- 経度の差=14″
- 緯度の差=5″
とわかっているので、あとは三角点の経緯度からそれぞれの差を足したり引いたりするだけです。
図上、左上の三角点から博物館の位置を見ると南東方向(=図で言うと右斜め下)にあることがわかります。
- 経度の場合→東側に位置する場合は+、西側に位置する場合は-
- 緯度の場合→北側に位置する場合は+、南側に位置する場合は-
とそれぞれ対応すればよいので、今回の位置関係の場合は右上の三角点に対して
- 経度→139° 02′ 09″+5″
- 緯度→37° 55′ 22″-14″
と計算することで博物館の位置が求まります。よって
- 139° 02′ 09″+5″=139° 02′ 14″
- 37° 55′ 22″-14″=37° 55′ 08″
ですので、最も近しい選択肢の値は3となります。
本問は机上で定規をあてて測るなどするため多少の誤差は出ます。
必ず選択肢の数値が合うわけではないので、最も近いものを選びましょう!
令和3年測量士補試験No.21のまとめ
地図編集の分野からの出題でした。
問題文にある図に対して実際に定規をあてて測るという少しアナログな手法をとりますが、頻出の問題です。
特に測量業ではこういった紙の図面を定規で測って実際の距離を出すことも少なくないので、覚えておいて損はない内容となります。
必ずマスターしておきましょう!
令和3年測量士補試験No.21の類題
他年度の測量士補試験に出題された本問の類題です!ぜひチャレンジしてみてください!
令和2年測量士補試験問題集NO.21→問題文及び解説記事はコチラ
令和4年測量士補試験問題集NO.21→問題文及び解説記事はコチラ
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令和3年のNO.21の問題を確認したら、その他の問題にも挑戦していきましょう!
本ブログでは各問題の解説を年度ごとに一覧にまとめたページがありますので、ぜひその記事からその他の問題に挑戦してみてください!
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